ノットステア

ブルベイカーのノットステアのレビュー・感想・評価

ブルベイカー(1980年製作の映画)
4.3
〇感想
正しさのために止まれない男。正しくない行いをしては、皆に顔向けできない。たとえ自分がクビになるとしても。
クビになったら改革を進められないじゃん、とも思ったけど。

ロバート・レッドフォードがやっぱりカッコいいな(見た目)。。。

なまいきでふてぶてしい囚人バレンが役付け囚人に逆らい、呼び出される。その後様子が急変。体もボロボロ。いったい何をされたのか。

結末はちょっと意外だった。ノンフィクションの映画化だからなー。ハッピーエンドの作品もあれば、バッドエンドの作品もある。こういう終わり方の作品もある。

犯罪を犯した人たち。そいつらを使って利益を得て何が悪い?そいつらを活用して市民のためなっていることもあるし。そういう考えの委員会の人もいるかもしれない。ただの汚職じゃない。こいつらなら酷い目に合わせてもいいじゃないか。
でも、囚人の中には不遇な境遇のために捕まった人もいる。そりゃ、冤罪ではないから、悪いことをしたやつだけど。
ブルベイカーは別に囚人に対して過度に愛着を持ったわけでもない。囚人であろうと、人権はあるんだと、正しさのためにまっすぐ動く。




○観たきっかけとBlu-rayケースに書いてある紹介文

ロバート・レッドフォード好きの父親にどの作品が一番好きなのか、聞いてみた。「一番なんて言われてもなぁ。」と返ってきたが、しばらくして、「『ブルベイカー』かな」と。
じゃあ観てみようと思ったけど家にはDVDとかなかった。
なんとなく、Blu-rayを買った。
ケースの裏には以下のように書いてある。

知られざる塀の中の世界。悲しき因人たちに自由の光を注ぐため、その男はやってきた。
囚人たちによる自治運営がなされているアーカンソー州ウィークフィールド刑務所。しかし、その実情は汚職と暴力が横行する腐敗した場所だった。その実態を調査するために因人として潜入した刑務所長ブルベイカーは、さらに「大量殺人」という恐るべき事実があったことを突き止めるが・・・。
自らの体験を書いたトーマス・O・マートンのノンフィクション・ベストセラーを映画化。正義を信じ、巨大な権力に立ち向かうブルベイカーの姿は深い感動を呼ぶ。ロバート・レッドフォー ドが、ブルベイカーの姿に共感し、全力投球で主演に挑んだ傑作ドラマ。監督は骨太社会派ドラマのヒットメーカー、『暴力脱獄』のスチュアート・ローゼンバーグ。まだ無名時代のモー ガン・フリーマンが囚人役で強烈な存在感を見せつけている。

1980年度アカデミー賞脚本賞ノミネート作品





以下、ネタバレあり。












〇あらすじと印象的なセリフ
・新しい囚人たちが護送されてくる。脱走者だという瀕死の囚人と銃を手にした囚人たち。

・役のない囚人の生活と役付の囚人の生活。ブルベイカーの食事に蛆虫がいる。それを貴重なタンパク質だと囚人は言う。

・不当な鞭打ちなど。刑務所長と役付け囚人の共犯

・劣悪な環境。所長を呼ぶまだ無名な頃のモーガン・フリーマン。ブルベイカーは、「私が所長だ」と名乗り出て、モーガン・フリーマンの話を聞く。役付け囚人たちは失笑。

・ブルベイカーはこの刑務所の実情を知るために囚人になりすましていた。新所長になる。

・ブルベイカーの改革。鞭の使用を禁止など。脱走するものは撃ち殺して良い。

・バレンと役付け囚人だの黒人のディッキーを信頼し、重要なことは二人に任せる。頼る。

・大雨で大部屋の房の屋根が落ち、囚人たちが重傷を負う。刑務所の担当医が囚人から金を巻き上げていた。

・囚人をこき使っていた材木工場の社長。仕事を与えない。

・ブルベイカーを追い出そうとする役付き囚人。

・刑務所の食料の横流しを発見。恋人を連れ込み、食料を置いていたヒューイの小屋を夜に燃やす。夜だと目立つから。。

・乗馬でサッカー。(馬から落とし合っていてちょっと危ない。観ていて怖かった。)

・ブルベイカーは、選挙で囚人たちから委員を選ぶ。自分たちで刑務所の抱える問題を考えさせる。

・エイブラハムという年老いた囚人の告白。刑期は35年なのに38年もいる。囚人が大量に殺されていることを知る。翌朝、死体が埋められた場所を見ることにする。

・その晩、管理委員会の会議。管理委員会のメンバーたち刑務所を自分の利益のために利用している。汚職。例:架空の保険会社を利用
リリアン「あれじゃ辞職願と同じよ」
ブルベイカー「仕方ない。ご期待に沿えなくて悪いが本当のことを言った」
リリアン「そこを何とか。このままでは切られるのを待つだけ。改革もご破算に。妥協するの。利用されるフリをして」
ブルベイカー「本当の障害が分かるか。ディーチやあの議員…ハイトか。彼らじゃないんだ。新聞に名を出すだけで何もしないニセ改革者たちだ」
リリアン「主観が強すぎるのよ。あなたは正しく皆は間違い」
ブルベイカー「いや考え方は人それぞれさ。僕は折れないぞ。だが彼らには通じない。自分の利益が第一だからだ。付き合えない」
………
ブルベイカー「初めて、囚人たちは自分が人間なのだと感じてると思う。だとすれば出てもディーチの娘や息子は襲わない」
リリアン「いい気なもんね。改善は中だけではないの。外でどうするかよ」
ブルベイカー「外では君や僕とは会うこともない。ムダだよ。連日あの委員たちにコケにされるのはごめんだ」
リリアン「時には勝つこともあるのよ。彼らをうまく扱えないようでは消えていくだけ。私の前からも」

・翌朝、エイブラハムの死体を発見。口封じのため。
ディッキー「なぜ話させた?」
ブルベイカー「何?」
ディッキー「信じられねえ。あんたは危険な人だ。戦争を起こして知らん顔。皆に言う。“それはだめ こう考えろ”。鳴り物入りで“すべて計算済みだ”。“今によくなる”。笑わすなって。人間死んだらおしまいだぜ」
ブルベイカー「そうだな」

・ブルベイカーは埋められた死体を探す。

・採掘作業を中止するよう命じる委員会の男。

・棺に入った沢山の人骨を発見。マスコミにも連絡。

・罪の発覚を恐れたヒューイが脱走。ブルベイカーはバレンたちと共に、ヒューイの恋人の家に向かう。生け捕りにするつもり。バレンが撃たれ、ヒューイを射殺。バレンの死。

・刑務所から採掘された死体に関する審問会。死体の死因が暴行による殺人とは断定できないという証言。解雇が決まったブルベイカー。節税のための受刑者殺し。
ブルベイカー「将来の禍根を断ち、税金を節約するために受刑者が来たらその場で射殺しろと」
………
ブルベイカー「最後の一言かな」
リリアン「なぜ途中で投げ出したりするの」
ブルベイカー「殺人を見逃す話だ。それを認めたら皆に顔向けできない。基本的な問題だ」
リリアン「選択や中間は認めない?」
ブルベイカー「真実は政治とは別のものだ」
リリアン「妥協はなし?」
ブルベイカー「あるさ。作戦でなら。だが原則ではだめ」
リリアン「でも私は…シャクだけど同感よ」
ブルベイカー「いや違う。本心は」

・ブルベイカーが刑務所を去る。新所長の「ここを元の姿に戻す」宣言。
ディッキーはブルベイカーに向かって「正しかった(You’re right.)」と言う。
ディッキーのゆっくりとした拍手。他の囚人たちもフェンスの前に集まり拍手を送る。

・エンドロール。2年後、24人の囚人が刑務所を憲法違反で告発。裁判で勝訴。刑務所は改善もしくは閉鎖を命じられる。州知事は選挙で落選。