Omizu

ショー・ミー・ラヴのOmizuのレビュー・感想・評価

ショー・ミー・ラヴ(1998年製作の映画)
4.7
【第12回ヨーロッパ映画賞 作品賞ノミネート】
スウェーデン発の爽やかな同性愛映画。

当時は今ほど理解もなかった同性愛、さらに閉鎖的な田舎なら尚更。

自らがレズビアンであることに悩む内向的なアグネスと、美人だけど移り気で都会に憧れるエリンが惹かれ合う。二人は対照的ではあるが、二人とも自分の居場所はここじゃないと思っている。

音楽使いが独特。音楽を流したとおもったらいきなりブツッと切る。他は技法的には特に特徴はないのだけど、あくまで客観的に、でもちゃんといつの間にか二人に感情移入させる監督の手腕は見事。

終盤、エリンがアグネスを引きずり込み、二人で手を繋いでトイレから堂々と出てくるところは本当に名シーン。あのあと学校という狭い世界では大変だろうことは当然だけど、あの二人の世界がとにかく尊い。アグネスの心からの笑顔が眩しかった。

またヨハンとエリンが別れるシーンもよかった。エリンはバカなように見えて実は自立を考えていて、女性だからと差別されることに怒る。そしてヨハンが自分の意見を言えないことに苛立つ。そんな二人はどう考えても釣り合わない。ヨハンはそれでも「男だから」いきていけるだろう。しかし女であるエリンはしっかり現実を見据えていて、だからこそアグネスと惹かれ合うのだ。

同性愛に留まらず女性差別を描きながらも、あくまで二人の少女の青春映画に仕上げているのが凄い。すごく好きな作品。観てよかった。
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