まめだいふく

嵐が丘のまめだいふくのレビュー・感想・評価

嵐が丘(1992年製作の映画)
3.0
 今を時めく俳優たちの映画デビュー作を観てみようシリーズ『あの人は昔』、レイフ・ファインズ編。

 エミリー・ブロンテ原作の長編小説の映画化。
 もう幾度も映像化されており、本作は5度目となる。
 それまでの映像化作品とは違い、原作を最初から最後まで忠実に描いているらしい。
 しかし、長大な原作を2時間にも満たない尺で収めているため、原作を読んだ事のある方からすれば、人物像の深掘りが甘いとか、ストーリーが駆け足だとか、そんな思いを抱くかもしれない。
 自分は原作未読なので、その点は気にならず、これはこれで興味深く鑑賞できた。
 しかし、思っていた内容とはかけ離れていた。大人の純愛ものかと想像していたら、ドロドロの愛憎劇、そして一人の男の復讐劇だった。
 とにかくヒースクリフがおっかない。すべてを支配し、すべてを奪っていく。
 そんなヒースクリフを演じているのが、本作が映画デビューとなるレイフ・ファインズ。これが映画デビュー作とは思えないほどの鬼気迫る演技。復讐の鬼と化しながらも、一人の女性を愛した純粋な気持ちは消えることなく、心に残っている。そんな複雑な心情の男をみごとに演じ切っている。既に只者ではなかったということか。

 因みに音楽は坂本龍一。世界観にマッチしている。
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