とことこ

私の中のあなたのとことこのレビュー・感想・評価

私の中のあなた(2009年製作の映画)
3.7
「死は死 誰にも理解できない」アナの言葉が重くのしかかる。

ドナー提供者としてのアナ、延命措置を受ける患者としてのケイト、家族を 娘を守りたい母親、3人のそれぞれの視点、心境が描かれる。誰が悪い、良いとかの問題ではなく、三者三様の想いがある。なんの脚色もせず、ただ事実をそのままに描いていた。

こうした映画は、ほとんどがお涙頂戴であったりするのだが、この映画は本当に潔いというか、ハッピーエンドとは言えないがすっきりした終わり方をする。決して、癌患者の死が報われたり、家族を結びつけたりという好意的な結末に終わらず、それぞれが再びケイトがいない普通の暮らしを始める。決してケイトのことを忘れはしないが、決してケイトの死に縛られるでもなく、ただ家族として再び普通に暮らす。

最後のアナの言葉がこの映画の核心をついていた。簡単に理解できる問題ではないからこそ、あの終わり方があるのだと思われた。
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