Kakumoto

私の中のあなたのKakumotoのネタバレレビュー・内容・結末

私の中のあなた(2009年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

姉の病気の治療の為に産まれた妹。姉を救う為に全てを投げ打って生きる母サラ。この母役をキャメロン・ディアスが好演。

サラは決して愚かな母親ではない。彼女なりの愛情で家族を愛している。

どちらかと言えば周囲の全てが反対する中、サラは孤立無援に近い。妹からの言葉にもある。「姉さんは闘っている。最後まで諦めない母親。そうありたいと必死で闘っている。それ以外が目に入っていない。でも、いつかは受け入れなくてはならない」

でも娘ケイトも、自身の死を受け入れている。また、父、妹も彼女の覚悟を受け入れている。実は、そう、サラのみがケイトを「救おう」としている。

それでも、サラの姿には共感するし、頷いてしまうし、応援したくなってしまう。「そんな簡単に娘を死なせはしない!」「誰が娘の味方になっているの!」彼女の娘への愛は、その愛し方に正解や不正解はないし、決して否定されるものではないと思う。

その娘、ケイト。幼少の頃から病との生活。「Pain? My life is pain. 」こんなセリフに、それは表れていよう。辛く長い闘病だが、いよいよ末期となり、こんなセリフとなる「一つお願いがあるの。私を自由にして」うぅ、涙。

ケイトお手製のアルバムは、家族には秘密のもの。ストーリー中で時折登場し、視聴者だけには見える格好。ケイトはもう自身の死を覚悟している。アルバムを眺めつつ家族を想う。病気の自身が居るが故の、申し訳無さと感謝の念。15歳の少女に感じさせる気持ちとしては、辛い。余りに辛過ぎる。

そのアルバムを、サラと共にベッドで二人で眺めるシーン。そのアルバムに、母のことを「私の病気を見守ってくれている天使」と書いていること。そして、最後、サラはケイトに抱かれるようにしてまどろんでゆくシーン。もうこれらは、涙無しには観ることが出来ない。

本作に悪役は登場しない。他のキャラクターも素敵。

ケイトの恋人役のテイラー。迎えに来てケイトを待つシーンが好き。あと、このセリフもさらっと言うがスゴい「癌になったから君に会えた」

少し影の薄いジェシー。でも、両方の妹を大事に思っている優しい少年。

あと、蛇足ながら。
エンディングテーマは、英国Vega 4というグループの 『 Life Is Beautiful 』という曲。作品のイメージにピッタリ。でこの曲は、私が好きな作品「ストリートダンス/TOP OF UK」(英国映画)でも、挿入歌として、これまた大好きなシーンで流れてくれる曲。好きな曲が、好きな映画で掛かるのは、また幸せなことである。

傑作。
Kakumoto

Kakumoto