都部

仮面ライダーZOの都部のレビュー・感想・評価

仮面ライダーZO(1992年製作の映画)
4.0
素晴らしい出来。特撮映画としても短い尺の問題を最低限の構成要素で物語を組むことで解決していて、その選び抜かれた要素の見せ方がとにかく良い。最小限の説明で成される無骨な英雄劇は真っ直ぐな格好良さを持ち合わせており、確固たるヒロイズムの物語として一貫している。

OPの入りから最高ですね。前作の真仮面ライダー序章とは異なり当時の現代的なデザインによる変身姿を開示しながら、趣向が凝らされているとひと目でわかるネオ生命体の目覚めを朝焼けと共に映す この対比的存在の映像の繋ぎ方から期待を煽られる。そこから流麗に展開される日常に異形が介入する派手な破壊描写を挟んで、『子供を守り抜く』という誰にとっても優先すべき目的意識の為に力を振るうZOの姿がバッチリとここでヒーローの存在として確立される。余計な説明描写は最小限にして画の理解させる力強さがありますし、日常的なシークエンスにサラリと挿入される改造人間の描写も物語の最適化に有機的に絡んでいる。

何より続々と登場するネオ生命体の造形が秀逸で、人類に害を及ぼす化け物としてのおぞましさを感じさせるデザインが多種見れるのは映像作品として満足感があり、ラッシュという表現が適切な戦闘の連続が物語を十全に盛り上げている。その最中で挟まれる時計を巡るシーンは情緒的で、暴力的な力を持った存在が善性の存在たり得る象徴的な場面また同じ境遇から生まれた怪人もまたZOと同様の存在であることを示唆する場面に繋がる描写として小道具が使われているのが良かったです。
ライダーと子供が名を呼ぶ声で復活するのもいいねぇ!

全てを解決して夕暮れの中に去っていくZOの格好良さも痺れるものがあり、そこまでの流れの中と同様にライダーの一声ですっと振り向いて、変身後の姿のモンタジューで作品が完結するこの斬れ味の良さ。伸び伸びと歌われる主題歌の感情豊かな戦慄も相まって格好良い〜〜と思わず子どもも大人も関係なく唸らせる そんな魅力がある作品でした。
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