海

愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像の海のレビュー・感想・評価

3.7
20世紀最大の画家の一人と言われる、フランシス・ベーコンとその恋人(男性)の関係を描いた作品。同性愛者だということは何となく知っていたものの、その生活や本人の性格などはあまり知らなかったので、率直に感じたことと言えば「知性はあるし名声も手に入れた稀有な芸術家だが、意地悪で皮肉屋の尊大なクソ野郎」だなベーコンは。純粋だけどコソ泥上がりの無教養な恋人がベーコンの仲間たちに馴染めずに精神を病んでいく様が痛々しい。それを芸術のネタにするベーコン。恋人への自分の気持ちさえも芸術のネタにするベーコン。死に近づく恋人を放置、その死に対する後悔をも恍惚感に変えるベーコン。芸術家の半生。良い悪いではない。その彼岸にあるものを目指す人種なのである。
海