しばいぬたろう

クレオパトラのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

クレオパトラ(1963年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『クレオパトラ』('63)
Cleopatra / アメリカ合衆国 / 英語

20世紀フォックスを危機に陥れたという伝説の名作が本作。
本編が4時間という超大作という点も目を引くポイントだが、個人的には間延びしただけに感じた。


紀元前48年8月、ローマの執政官ユリウス・カエサルは戦いで撃破したポンペイウスを追ってアレクサンドリアへやって来る。
プトレマイオス朝エジプトでは、姉クレオパトラと弟プトレマイオス王が王位を争っており、クレオパトラは現在国を追われていた。
クレオパトラは王位を奪還すべく、ユリウス・カエサルを味方につけることに決め、カエサルもクレオパトラに魅了されてしまう。
こうしてプトレマイオス朝最後の統治者として、波乱万丈な人生が始まった。


冒頭20分でクレオパトラが登場する。
ここまでのテンポが良くて、登場人物が多い割にわかりやすかったことからかなり期待して観始めるのだが、ここからが非常に長かった。
 
クレオパトラの一代記として有名な物語は、「カーペット包まり贈り物」と「カエサルとの愛人関係」と「毒蛇に咬まれて死ぬ」などだと思うが、それらはもちろん描いている。
カエサルが登場するのだが、カエサルの有名な逸話「ブルータス、お前もか!」に関しては映像があるものの、台詞が入っていないため、「本作は『クレオパトラ』の作品だ」ということを強調した形になっている。

本作は、「古代ローマやプトレマイオス朝エジプトの物語」ではなく、「クレオパトラの人間性を独自解釈したクレオパトラの恋物語」でした。
彼女の人生に関しては逸話の通りに描いているのだが、彼女の人間性は自分が想像していたものとは違うタイプの女性だった。
また、衣装や化粧に関しても、本作オリジナルにしていると思っている。
そもそもエジプト女性の目の周りの黒い化粧は厳しい日差しを遮るためだったはずで、瞼をあんなにキラキラさせてしまっては、日差し除けには逆効果に思える。
しかし、かなり凝った美しく華やかな衣装だったため、歴史考証は抜きにして、見どころの一つではありました。

王女になるために強かに男を利用した女性に仕上がっており、「愛」だ「恋」だ言われてもあまりピンとこない。
そして彼女が目指す世界征服への足掛かりに、妻のいる男二人が犠牲となっていく。
彼女の知性に魅かれてとあるが、あまりその知性を感じることができなかった。(言葉巧みではあったが)
正直なところ、『若草物語』のエイミーが大人になっただけにも見えてしまった。

史実ではないが、クレオパトラがどのような人生を歩んできたかを知るには丁度良い映画。
しかし丁度良くない時間設定で、気軽に鑑賞することができない勿体なさ。
映画としては、かなりお金をかけたこともわかり、壮大で隙のない映像展開は見ごたえがあります。
特にローマ帝国入りした際のパレードは、『アラジン』など他のパレードシーンを圧倒する程の壮大さは、1963年映画とは思えない程。

人生に一度は観ても損はないが、二度観ることもない。
テキトーに作っているわけではないので、長い映画が苦手でない人には普通におススメできる作品でした。
しばいぬたろう

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