TaiRa

暗黒街のTaiRaのレビュー・感想・評価

暗黒街(1927年製作の映画)
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元祖ギャング映画で男泣きノワール。色んなやつの元ネタ。

アル中の男が強盗犯の男と出会い、流れで子分になったらそいつの情婦に惚れちゃって三角関係になる。ワルだけど憎めない強盗犯をジョージ・バンクロフトが演ってて良い感じ。酒場でヤクザに絡まれたアル中のクライヴ・ブルックをバンクロフトが助けてくれる場面、ヤクザが痰壷に金投げて拾わせるってのは『リオ・ブラボー』で見た。その酒場出たとこで「THE CITY IS YOURS」のネオンを見るのはもちろん『暗黒外の顔役』だし、ホークスはめっちゃ影響受けてるみたい。無軌道なギャングを描くのがメインではなくて、中心は子分になったブルックと情婦のイヴリン・ブレントのメロドラマ。愛と仁義の板挟みというやつ。後にディートリッヒと出会って女優映画の巨匠になるスタンバーグの性質がこの頃から出ていて、ブルックとブレントが二人っきりになった時、互いの想いを確認する芝居が丁寧。俳優、特に女優のアップの撮り方が上手くて芝居もモダンかつ繊細。ブレントがちゃんと可愛く撮れてる。初対面時の正対アップの切り返しも良かった。それぞれ微妙に撮り方変えてる。一目惚れを画だけで見せる。その前に階段の上から落ちてくる糸で二人の出会いを予感させるのも洒落てた。なんか話がどんどん遡ってるな。クライマックスの警官との銃撃戦もスピーディで迫力ある。砂埃で画面が煙に包まれるのが色っぽい。誤解が解けて二人を逃がすバンクロフトの台詞が泣ける。ラストに向けて光と煙の演出が更に良くなる。最後の台詞もイケてた。やっぱ俳優のアップ撮れる監督は良いなって思った。
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