すでに起こってしまった惨劇の背景に何があったのかを紐解いていく構成。男だけが関係する事の真相の面白さよりも、「何があったのか」をきちんと現場の証拠品からロジカルに推理していく探偵役を務めるスイス軍少佐の女性の存在に惹かれるところが大きかった。
冒頭で提示される事件の真相を、ただ単に過去回想のように明かすのではなく、そこにひとつ推理の要素を加えながら明かすことで、ミステリとしての構造が強く出ている。クライマックスでは探偵が見届け人の役割も果たしていた。38度線の境界線上における“越境”をめぐる小競り合いも印象的。
