mat9215

JSAのmat9215のレビュー・感想・評価

JSA(2000年製作の映画)
3.5
大人が子供のような遊びに興じる場面は、遊びの終わりに死が訪れることを予感させる。北野武『ソナチネ』やルネ・クレマン『狼は天使の匂い』のように。こうした遊びに興じる場面で、ソン・ガンホとシン・ハギュンのコンビは、イ・ビョンホンとキム・テウのコンビより印象的だ。また、映画では記念写真も別離や死の訪れの予兆だ。小津安二郎『戸田家の兄妹』、吉田喜重『エロス+虐殺』、黒木和雄『龍馬暗殺』などなど枚挙にいとまがない。男たちが撮影した記念写真は、捜査にあたるイ・ヨンエに決定的な証拠を与えるだけでなく、写った者たちに死をもたらすものだったのだ。この写真のディテールは描かれず、代わりに、ラストショットで4人が写り込んだ写真が提示されることになる。なお、壁に斜めの平行線を描くブラインドの影は、人の顔の上に落ちると複雑な陰影をつくる。あるいは、頭の動きのアクション繋ぎで別の人物に切り替わる。こうした古典的な映画話法を使うあたりは映画評論家出身っぽい。
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