葛西ロボ

ファニーとアレクサンデルの葛西ロボのレビュー・感想・評価

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)
3.5
 5時間って。一晩の睡眠を挟んで、前半の記憶を定着させてから後半を見たのも、特に功を奏さなかった。
 ストーリーや展開に難があるというわけではなく、登場人物を把握するのには骨が折れたけど、章ごとに話を追うこと自体は難しくなかった。ただ、5時間という長さによって、読み取れた少しのことも印象としては希薄になってしまった。
 冒頭の死神にしても子どもたちの目線から宗教や政治、大人たちの恥部を透徹する視点は「ミツバチのささやき」を思わせる。家庭のいざこざ、子どもの親権争いなんかは「クレイマー、クレイマー」のようだが、アメリカのような現代的な個の問題ではなく、階級や宗教を扱っている点でその国の文化や風土を強く思わせる。
 もっとも印象的だったのは美術面。70年代ではあるが建築や室内の装飾に「バリー・リンドン」のような絢爛さがあった。
 と他の作品を引き合いに出してしか語れない時点で、何もかもが自分に足りていない。