しげのかいり

叫のしげのかいりのレビュー・感想・評価

(2006年製作の映画)
3.8
黒沢清ほど美しく「死者」としての他者を描こうと思っている監督はいないだろう。冒頭でてくる鮮烈な赤が印象的な女の死体は、死という絶対の孤独にしかない独特なの魅力を漂わせている。まったぎ他者の孤独。誰も聞こえはしないという出題は、最新作のクリーピーにも受け継がれているもので、基本的に黒沢という作家は、この点で一貫したモチーフを持っている。そういう意味で「幽霊」ではないけれども、狂気を漂わせた竹内の美も、同じく触れるコトができない「他者」独特の美しさが映し出されている。