kuu

砂の器のkuuのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.5
風紋+ズーズー弁+食堂車+紙吹雪+絵葉書+子猫+手紙+組曲『宿命』◎



監督:野村芳太郎
原作:長編推理小説『砂の器』松本清張
脚本:橋本忍
   山田洋次
音楽監督:芥川也寸志
作曲・ピアノ演奏:菅野光亮
演奏・特別出演:東京交響楽団
指揮:熊谷弘
撮影:川又昂
出演者:丹波哲郎
    加藤剛
    森田健作
    島田陽子
    山口果林
    加藤嘉
    春田和秀
    笠智衆
    緒形拳
    渥美清
    佐分利信

鉄道事故に見せかけた殺人事件の捜査で明らかになる天才作曲家の数奇な運命を描いた作品です

やるせない物語です
原作とは違う点があるようですが、なかなかドラマチックな描写で良かったです
あっと驚くような仕掛けもなく地味なストーリーですが、ハンセン病や戸籍などに纏わる話に加え作曲家でピアニストで指揮者という美男子を登場させることで映画として成り立っているように感じました

鉄道の旅がいいですね
駅弁や食堂車に僅かな停車時間のホームでの買い物や寂れた駅舎にいろんな車両に線路…たまりません
捜査中に立ち寄る場所それぞれ趣があって良かったです

波の音、風の音、虫の音、電車の音、それぞれが胸に突き刺さりました

原作より色濃く描いたハンセン病が強い印象を与えています
全てを失った父と息子の遍路姿に涙が止まりませんでした

映像と音声がかなりずれていたり、加藤剛の弾き振りに違和感はあります
それでもあの親子の宛所のない旅を思うと全てが吹き飛んでしまいます

再鑑賞して良かったです😊
kuu

kuu