このレビューはネタバレを含みます
タイトルがグっときます。
いくら造っても、風に吹かれてはさらさら崩れ落ち、掴むことすらできず、脆く崩れてしまう砂の器。
犯人にとって、与えられるべき愛情や対応、培われるべきだった人間性。
差別を受けた辛すぎる過去を偽装することはできても、他者の善意・幸せの価値観を受け入れる器は出来上がってない。悲しい子ども時代はもう取り戻せない。犯人も被害者なんだ。
そしてまた辛いなぁと思うのは、正しいことが、いつも最善とはならない皮肉です。
心の傷を負った人間にとっては、向き合いたくない過去があり、距離や時間で解決できるかもわからない。
本来は誰にとっても、自分の思い描く幸せを求めることは罪ではないはずなのに。
ハンセン病というと、映画「あん」だったり、「もののけ姫」でも採り上げられていたけれど、深くおぞましい歴史の中で、たくさんの涙が流れている。