きっと彼はどんなに辛くても惨めでもお父さんと旅しているあの瞬間が一番幸せだったのだろう…。彼はあのお父さんと別れた後に一回人生を終了している。息子であった人生を。
常識人からすると、なぜ殺されなければいけなかったのか、そこまで…?という感じもあるかもしれないが、きっと彼にはお父さんに会いたくない気持ち、何か許せていない、何かあの瞬間がなくなってしまう気持ちがあったのかもしれない。
あれだけ息子の様子を知りたかったお父さんも、実際会うことになるかもしれないとなると、迷惑をかけれない気持ちや彼と離れた罪悪感があったのかもしれない。
三木のような善意のある行動が全ての人間を救えない難しさもよく描けている。
なんて複雑な親子愛なんだろう。
重い話かもしれないが、こんな拗れた普通じゃない愛の形があっても良いと思ってしまう。
日本各地の美しい田舎の風景や渥美清さん、昔の日本の様子には癒された。
演奏に合わせての捜査状況の説明もなかなか粋でした。カッコいい。
これはゆっくり思い出して噛み締めたい作品。