《何か一言だけでも覚えている言葉はないかね》
〝二度目の水割りを持って行ったときに確かカメダとか〟〝カメダ?〟〝はい、二、三度そういう言葉を。カメダがどうとか、カメダは変わらないかとか言ってました〟
松本清張さんの推理小説を野村芳太郎監督が映画化した不朽の名作〝砂の器〟が劇場公開50周年記念として無料配信されていたので久々に再鑑賞したのだけど…。丹波哲郎さんと森田健作さんによる地道な捜査が続けられたことと、加藤剛さんが演奏する〝宿命〟のピアノ演奏に聞き入ってしまったこと以外すっかり忘れてしまっていたので、十分楽しむことができた。
あれから50年も経つんだね。劇場公開されたときは凄いヒットで超満員の劇場で観た記憶があるけど、今見返してみると、丹波さんも森田さんも若いし、島田陽子さんもお綺麗。街並みはまるで〝三丁目の夕日〟。
本作の、被害者と犯人と思われる人物が話していた〝カメダ〟という言葉が人名なのか地名なのかが謎だし、列車に乗っていた美女が破いた紙きれが窓から空に舞っていたのも気になるね。犯人や被害者が残した言葉が手掛かりになるのは推理小説や2時間ドラマあるあるで、被害者の黒人男性の〝ストウハ〟と〝キスミー〟という言葉が切ない過去をあぶり出していく森村誠一の〝人間の証明〟も当時ヒットしたし、謎の美女のそれって〝あの日あなたと踊ったドレス、冬の海へと流しに来た〟と歌ったアン・ルイスの〝WOMAN〟を思い出すなあ。
そんな昔のことを振り返りながら観ていたら、犯人と被害者の接点や犯人の出生の秘密が明らかになって…。観客をぐいぐい引きつけていくストーリーは流石。確かに今も色あせない名作だね。
視聴メモ:2024.11.12/149/松竹シネマPLUSシアター