幸運ボーイ

砂の器の幸運ボーイのネタバレレビュー・内容・結末

砂の器(1974年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

心底惚れ込んだ。

冷静に観ると推理がガバガバだったりしてん?ってなるんだけど初回の衝撃が凄すぎて。

細かい粗はほっといてクライマックスのオーケストラをでかい画面で見て落ちない人はいないんじゃないかな。大阪のリバイバル上映で見たけどぜひでっかい画面で見て欲しい。

スポーツシャツなんてワインにでも浸して燃やしちまえばいいじゃないか。

舵取りは乱暴で雑なんだけどいかんせんクライマックスへの持ってき方が絶品。好きすぎて原作小説とか他のドラマ版とか買って見漁って比べたりしてるんだけどコレが一番響いた。

役者さんの演技も相まって心に残るシーンが多い。瓜食うシーンとか謎に印象的。加藤さん緒方さん出てるとこ全部好き。

正直ライ病がそこまで流行ってないからどこまで過酷なものだったのかってのが分からんのよね。お遍路とか村八分とか今も残っちゃいるけどこんな過酷なの一般的に見ないし。コロナとか比じゃないほどの差別だったんだろね。

当時の問題に置き換えてリバイバルした中居版砂の器は大ヒットしたんだと思う。いじめって問題になり始めたのってもっと前か。じゃあちげぇや。勘違いでしたスンマセン。定期的に時代に合わせてアップデートして作って欲しい。2019年版どこにもないから配信で見せてください

和賀の想いを意図的に描いてないのが想像力を刺激するけどここみてぇなぁってずっと思ってる。受け取り方次第でしょーもない奴にも最高の芸術家にもできるから塩梅難しい。計画殺人だって言われてるけど殺した瞬間の映像撮ってないのはそういうことなんやろうと思うんだ。中居版だと初動ははっきり事故として描いてるよね。

まあ解釈の塩梅でどうとでもなるから好きに解釈すりゃええんだけど考えすぎるよりそのまんま受け取りゃいいやろっていうじゃん。好きに見させろ

原作に忠実かって言うとと全然なんだけどさ、抑えないといけないポイントをしっかり抑えてるからイイ。ヌーボーグループのくだりとか読んでていらんと思ったんだよねぇー。でもそれのせいで違和感が出ちゃってる。東北弁の亀田、不審な男の部分。原作だと弱み握られた知人だったけどこの映画だと不審な男って結局誰だったんだろうね。自演?えらいリスキーな。原作後半の超音波装置とか読んでて退屈でさぁ、マジいらねぇって思ってたからスッキリした。

何回も見てると違和感のある部分が浮き出てきちゃってよくねぇなぁって思った。ピアノ演奏雑すぎんだろとか。原作だと今西の独壇場で他が活躍あんまりなんだよね。最後の若い刑事に譲る場面かっこつけすぎって感じだったんだけどこの映画だと役割結構分散していい感じなのよね。てか和賀なんてほぼないようなもんだったし

1977版はヌーボーグループの俳優さんがいい味出してるけどオリジナルの恋愛要素がノイズ
1991版はかなり高水準でまとまってるけど駆け足気味で予算を感じる
2004年版は大名作だけどアップデートしすぎて別物
2011年版は昭和にこだわりすぎてラスト以外イマイチ

1962年版と2019年版が映像化されてなくてマジで見たいんですけど誰かビデオ持ってないすか