T太郎

ゆりかごを揺らす手のT太郎のレビュー・感想・評価

ゆりかごを揺らす手(1991年製作の映画)
3.8
873
久しぶりに鑑賞した。
90年代初頭の傑作サスペンスだ。
絵に描いたような幸せな家族が、強烈な悪意にさらされる物語だ。

主人公はクレア(アナベラ・シオラ)という美しい女性だ。
夫と幼い娘、そして生まれたばかりの赤ん坊との4人家族である。

一家は住み込みのベビーシッターを雇う。
ペイトン(レベッカ・デ・モーネイ)という美しい女性だ。
(いちいち美しいは入れなくてよろし)

一見人当たりのいい人物なのだが・・・

彼女の夫は産婦人科の医師だった。
だが、患者に対するわいせつ行為で訴えられ、自殺してしまった。
彼女は家財を没収された挙げ句、お腹に宿していた赤ん坊をも亡くしてしまったのだ。

そして、彼女の夫を最初に訴えたのがクレアなのである。

そう、ペイトンはクレアに復讐するために接触してきたのだ。

ここで但し書きだ。
クレアの訴えは至極正当なもので、ペイトンの夫は実際エロ医者だったのだ。
クレアに全く非がない事は強調しておく必要があるだろう。

ペイトンは様々な機会や小道具を駆使して、ジワジワとクレアを追いつめていく。
不発に終わった罠さえも巧みに2次活用して、邪魔者の排除に使うのだ。

最初は小ネタだ。
だが、どうって事ない嫌がらせや自己満足とも思える行動が後々効いてきたりする。
行き当たりばったりではない、深謀遠慮とも言える凄みを感じるのである。

クレア一家の信頼を勝ち取ってからは、やりたい放題だ。
実に上手く立ち回る。
言葉巧みに一家を操り、外堀を埋め内部を崩していくのだ。

実に狡猾かつ粘着質な復讐者なのである。

もう一人、重要な登場人物を紹介しておくべきだろう。
ソロモンという障害を持つ黒人青年だ。
ペイトンより前に雇われていて、家屋の修理や大工仕事をしている。

そして、クレア一家に多大な恩義を感じているのだ。

彼がこの物語でどのような役割を果たすのか。
クレア一家とソロモンの絆のような物を感じられる、いい話にもなっている。
要注目だ。

非常に面白かった。
ストーリー展開が秀逸で引き込まれる。
レベッカの美しくも恐ろしい演技も素晴らしい。
スリラーとはこういう物だという、お手本のような作品だと個人的には思う。

おっと忘れてはいけない。
この作品にはジュリアン・ムーアも出演している。
クレア一家の友人のマリーンという美しい女性役である。

非常に重要な役どころだ。
彼女の演技にも要注目だ。
(いちいち美しいを入れんなって)
T太郎

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