オスカーは911テロで父を亡くしました。父の部屋でブラックと書いてある封筒の中に鍵があったため、ブラックという名字の人を片っ端から訪問し、という話です。
オスカーは癖のある子供ですが、冒頭から分析や調査が大好きであることがわかります。主役級のトムハンクスがすぐに亡くなること、911と関連していることに驚きました。それで冒頭にオスカーが死について自分なりの哲学を語っていたことを理解します。
最初はニューヨークの第6街やパパとの8分間が消えていくという意味が分かりません。そして、オスカーはトラウマがあって公共交通機関も乗れず、鍵と名字だけで人探しをするので無謀です。癖のある子供であるオスカーの一人舞台は観ていて眠くなってしまいます。
ただ、オスカーは色々な人と会うことで、単に知りたいことだけではなく、興味のないことを聞かされたりして驚きます。そして、オスカーが近くに住むオスカーの祖母の間借人へ吐き出すシーンが面白いです。そら世の中には色々な人がいるよと思いながらオスカーを眺めます。
ただ、その間借り人がオスカーの旅に加わることで状況が変わり、映画自体が面白くなっていきます。今までできなかったことが間借り人のおかげでできるようになっている様は良いですね。
終盤に鍵の元が分かり、オスカーのトラウマが分かります。オスカーの父へのこだわりはただの愛情ではなく、後悔があったということが理解できます。鍵は金庫だけでなく、オスカーの心を開けることになります。
映画のほとんどを占めるオスカーが鍵の持ち主を探す旅は徒労に終わります。でも、オスカーはこの経験で他のことが乗り越えられるようになり、前に進みます。ものは得られませんが、観ている者やオスカーが油断したときに今回の経験がマッチします。最後に、親の偉大さが感じられました。
911である必要性はあったのか不思議に思いました。途中で中東系の人と上手く和解するのかとも思ってしまいました。知らなかった色々な人と会うのはよいのですが、オスカーの成長とテロの関係がほしかったです。