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フィフス・エレメントのtakのレビュー・感想・評価

フィフス・エレメント(1997年製作の映画)
3.5
リュック・ベッソン監督が、映画少年の夢をスクリーンに結晶させたようなSFエンターテイメント大作。

「レオン」に次ぐハリウッド進出第2作だが、アメリカ映画で見られるSF映画のクールな感じとは違って、どこか温かみがある。やたらロボットが出てくることもなく、悲観的な未来が描かれることもない。そこに確かに人がいる、都市が息づいている。でも、エンターテイメントの中に作家性を貫いた作風は抑えられて、万国共通の娯楽作になってしまった感は拭えない。

だけど全編を包むのは遊び心いっぱいの楽しさ。そして"愛"が地球を救うという万人受けをあっけらかんとやってのける。他の誰とも似てないベッソンの映画を期待していたけれど、それとは違う。されど、エンドクレジットでどっと疲労感を感じるくらいに集中させる娯楽作としては一級品。

エリック・セラの音楽は見どころの一つ。23世紀の音楽を聴かせなければならないという難題を、現代以上にジャンルを超えたミクスチャーが進んでいるものとして示してくれる。エイリアンオペラ歌手が歌うThe Diva Danceは、アリアとヒップホップ、ダンスビートが融合する刺激的な試み。
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