Omizu

オール・ザ・キングスメンのOmizuのレビュー・感想・評価

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)
3.9
【第22回アカデミー賞 作品賞】
ピューリッツァー賞を受賞した『すべて王の臣』を原作にした社会派作品。

監督のロバート・ロッセンは『ボディ・アンド・ソウル』に続くこの作品で高評価を獲得したが、アカデミー賞直前にかつて共産党員だったことが明るみになり赤狩りの餌食となり本人の監督賞や脚本賞は逃し、これ以降自由に映画がつくれなくなったという。

貧しい農家出身の政治家が金、権力、欲望にまみれていく様をしっかりとした演出でみせていく。キャラクター造形が実に巧みで、それぞれのキャラクターの変化、戸惑い、後悔を過不足なく魅力的に写し出している。

理想を掲げたはいいものの、それを実現するためには汚い方法を取らざるを得ず、だんだんと理想が廃れていく男の変化をしっかりと捉えている。また秘書を演じたマーセデス・マッケンブリッジが素晴らしい。ハスキーな声と意志の強そうな顔が役にぴったり。助演女優賞受賞も納得。

とても面白く意義深い社会派作品だった。オススメ。
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