川崎邦彦

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラの川崎邦彦のネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

それまでの怪獣映画の常識を崩した前作「フランケンシュタイン対地底怪獣」と合わせてカルトな人気を博す東宝特撮怪獣映画の怪作

巨大怪獣=鈍重な獣というイメージを覆し人間の体のフォルムをそのままに残した猿人が車よりも早く走り、舟よりも早く泳いで人間を襲いくる
さらには二体の巨人が取っ組み合いのプロレス格闘を繰り広げるという
かなりの異色なモンスター映画である

冒頭の漁師達をクロールで泳ぎ追いかけて鷲掴みにするシーンはなかなかホラーであるし、人間を捕まえてバリバリと食べてしまうのはトラウマレベル

東宝スター怪獣であるゴジラなどの怪獣映画にくらべるとかなりマニアックな作品であるが海外でも知る人ぞ知るコアなファンがいるほどのカルト映画であり
ブラット・ピットが子供時代に観て感銘を受けた話しや「キル・ビルvol2」でタランティーノ監督が演技指導に役者に見せた話しなど逸話があったりする

そしてこの映画ももう一つの注目すべきは劇中の自衛隊がもつメーサー殺獣光線車である
今作で初めて登場したこのメーサーという架空のエネルギー波をパラボラアンテナから射出する兵器はその完成度の高いデザインと活躍から、後の東宝特撮映画にも後継機が幾度も登場することになるという人気の架空兵器である

伊福部昭作曲の「L作戦マーチ(メーサー殺獣光線車マーチ)」の軽快なサウンドもとても良い

ラストが唐突に終わる辺りもB級モンスター映画っぽくてなかなか味のある作品である

今観ると進撃の巨人っぽいところがあるように感じた
川崎邦彦

川崎邦彦