しん

囚われの女のしんのレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
3.3
シャンタル・アケルマン映画祭にて鑑賞。基本的には静かでなが回しを中心にした映画なので、途中で少し飽きたり集中力が切れる瞬間はありました。しかし作品として描こうとしていた「透明さ」の度合いの問題は興味深く、それを異性愛と同性愛の垣根を越える形で描いているのは、2000年の作品でありながらとても新しかったです。

『花束みたいな恋をした』など、近年の作品と比較しても静かさと日常性を意識した本作は、かなり不思議な親近感を覚えました。ただ、最初の導入がかなり回りくどいので(フランス映画あるあるですが)、そこでの理解力が問われる作品でもありました。その意味で、80分くらいの楽しさは最初の20分くらいの理解力に掛かっている気がします。私はそこが少し甘かったです。自分の理解力不足ですね。

ラストの展開もなかなか衝撃的で、薄ら寒さも感じながら劇場を後にしました。こういう作品をもっと理解できるようになりたいので、アケルマン監督の作品は追いかけたいと思います。亡くなられたのが、残念で仕方ありません。
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