囚人13号

囚われの女の囚人13号のレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
3.8
男女の容姿=セックス以外は性別自体をスクリーンから除去してしまうアケルマンに驚く。

ストーカーは男、被害者は女だがカメラは常に追う側の主観に近い位置、もしくはその様子を背後から捉え(『めまい』)、いつにも増してフレーム内外のサウンドが目立つ。

影や室内の美術設計は舞台劇の如く設えられているが冒頭における一連のストーカー行為を捉えたショットで響く足音は象徴的で、またラジオ音楽や歌も含めたサウンドやBGMが盛り上がりを見せる中、それを突如断絶することで突き放しにかかる編集をアケルマンは好んで多用している。

通俗概念を無視してそこにいる女はもはや肉体以外は性差を超越した存在であり、同性愛者の疑いを掛けられるがラストでその肉体をも消し去ることで全ては永遠の謎と化し、そして残された男はというと精神面のみならず歪んだ性癖までもが露呈され、衝撃と体温低下で震えることしか許されない。
囚人13号

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