カタパルトスープレックス

フィッシャー・キングのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

フィッシャー・キング(1991年製作の映画)
4.5
ボクにとってのテリー・ギリアム監督最高傑作です。逆説的なのですが、この映画はテリー・ギリアムらしくないから、テリー・ギリアム監督の本質部分を切り出すことができたんだと思います。つまり、テクニックに頼らず、ストーリーとキャラクターに語らせたことが成功要因だったと思います。

テリー・ギリアム監督作品の特徴は現実と幻想の間を描くこと。それは『バンデットQ』(1981年)から現時点での最新作『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(2018年)まで一貫しています。テリー・ギリアムはモンティ・パイソンではアニメーション作家でもありましたので、独自の映像的な演出で描くことを得意としています。そのためかもしれませんが、テリー・ギリアム監督は物語をキャラクターに語らせるのが巧くない。どうしても、モンティ・パイソン的なスケッチになってしまう。そして、この作品だけがその例外になっています。ちゃんと物語になっている。

なぜ、この作品では例外的にキャラクターがストーリーを語ることができたのか。それはテリー・ギリアム監督が脚本に関わってないからです!😹😹😹この作品の監督候補にはテリー・ギリアム以外にもジェームス・キャメロンもいたそうです。ただ、ジェームス・キャメロンは『T2』にかかりきりだった為、実現しなかったのだそうです。まあ、お互いのためにもよかったですね!

この作品は聖杯伝説をモチーフに使っています。現代の聖杯伝説。ロンギヌスの槍で傷つき、癒えない傷を負ったフィッシャー・キング(漁夫王)。それは、ジャック・ルーカス(ジェフ・ブリッジス)でもあるし、パリー(ロビン・ウィリアムズ)でもある。二人は同じ事件(ロンギヌスの槍)で心に傷を負った。果たして彼らの傷を癒す聖杯とはなんでしょうか?という話です。

テリー・ギリアム監督は最初の作品『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(テリー・ジョーンズと共同監督)で聖杯伝説をモチーフにしてますからね。大好物なはずですよ。だから、どうしてもやりたかったでしょうね。ジェームス・キャメロン版も観たい気もするけど。

ちなみに、ジェフ・ブリッジスはこの映画でも着ているTシャツを『チキンハート・ブルース』と『ビッグ・リボウスキ』でも着ています。たぶん、お気に入りの私服なんでしょうね。これ、やっと見つけてポチることができました!