スギノイチ

雨のなかの女のスギノイチのレビュー・感想・評価

雨のなかの女(1969年製作の映画)
3.5
シャーリー・ナイトとジェームズ・カーンによる『二十日鼠と人間』か。
一般的な「ロードムービー」というのは、主人公たちの精神的回復を伴う作劇が殆どだが、この映画はそうではなく、むしろ心の傷を深めるような出会いと出来事しか起こらない。
しかし、出来事だけ見て「マイナス」と形容することが憚られる映画でもある。

秀逸なのは、神経質で皮肉屋であり、娘に対する言動もDVスレスレの不良警官ロバート・デュバルの描き方。
火事で死んだ元妻を悪し様に罵る一方で、涙を滲ませて人工呼吸を試みるデュバルの映像がフラッシュバックで回想される。
これをして「実は良い人」とか、そういう浅薄な描写ではない。
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