このレビューはネタバレを含みます
自宅で。
2003年のアメリカ/ドイツの作品。
監督は「ブレイド」のスティーヴン・ノリントン。
あらすじ
1899年、ロンドン。英国銀行が世界征服を企む鉄仮面のリーダー「ファントム」とその組織に襲撃されてしまったことから、危機感を感じた英国政府は世界大戦の勃発を防ぐため、冒険家アラン・クォーターメイン(ショーン・コネリー「ビリーおじさんのミラクル救出大作戦」)をはじめとした要人を収集し、「怪人連盟」を結成する!
ディズニープラスにて、2度目。
俺自身、2020年に惜しくも亡くなられてしまった、ショーン・コネリーといえば初代ボンドでも、インディ・ジョーンズの親父さんでもなくて、今作の主人公のイメージが強い(というか、彼の主演作は恥ずかしながらこれしか観てない笑)。
ということで、「アベンジャーズ」や「ジャスティス・リーグ」よりも先にそれぞれの作品の主人公が一つの作品で一堂に会する「ユニバース」のある意味「先駆け」とも言える本作。
ただ、本作で登場するユニバースはもちろんスーパーヒーローでもないんだけど、そのメンバー構成はH・R・ハガードの「ソロモン王の洞窟」の主人公アラン・クォーターメイン、ブラム・ストーカー作「吸血鬼ドラキュラ」のヒロイン、ミナ・ハーカー(ペータ・ウィルソン「ビューティフル」)、オスカー・ワイルド作「ドリアン・グレイの肖像」のドリアン・グレイ(スチュアート・タウンゼント「ストレンジャー・プロジェクト」)、マーク・トウェイン作「トム・ソーヤーの冒険」のトム・ソーヤー(シェーン・ウェスト「ゾディアック 覚醒」)、H・G・ウェルズ作「透明人間」のロドニー・スキナー(トニー・カラン「アウトロー・キング〜スコットランドの英雄〜」)、ジューヌ・ヴェルヌ作「海底二万浬」のネモ船長(ナセールディン・シャー「アイヤーリー 〜戦場の奇術師〜」)、そしてスティーブンソン作「ジキル博士とハイド氏」)のヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド(ジェイソン・フレミング「レジェンド・オブ・ドラゴン 鉄仮面と龍の秘宝」)といった、言ってしまえば「小説版アベンジャーズ」。
まぁ、ぶっちゃけ今作の中では主人公であるコネリー演じるクォーターメインは全く知らなかったんだけど、それ以外の面々で言えば、ミナはドラキュラになれるし、グレイは不死身(ただし、条件付き)、スキナーは透明になれるし、ジキルはハイドに変身してスーパーパワーを持ってたりとめちゃくちゃ特殊能力持ち!!
クォーターメインとソーヤーとネモ船長は人間っぽいんだけど、それぞれ射撃だったり、剣術の達人だったりとアベンジャーズで言うとブラックウィドウとかホークアイ的なポジで頑張ってる。
あと、やっぱ主人公にコネリーを持って来れたのは大正解で、流石の「格」というか、その佇まいだけで只者じゃない感じ。
序盤のナイジェルからのくだりを経ての、人を殺して「英国万歳」の捨て台詞からのスナイプでのワンショットキルの流れなんか老年にして尚衰え知らずな感じだったし、何より中盤のスノールックで銃を構えるシーンなんか、そのまんまボンドにありそうで笑えた。
ただ、お話的には、今のユニバース作品の芳醇さと見比べると、やはり数倍劣る出来で、せっかくのキャラクターたちを十分に生かしきれていない印象、やっぱこういう作品て、ルッソ兄弟じゃないけど「交通整理力」がものを言うよなぁ。
ただ、黒幕の正体だったり(ここもまさかの有名キャラクター)、終盤の改造兵隊軍団とのバトル、中盤の伏線を活かしたラストシューティングのシーンなんかは良かった。
特にハイド薬を使った、なんて表現したらいいんだろう?「赤筋肉ムキムキキモ男」というか笑、まんまハイドを超絶魔改造した感じのルックがめちゃくちゃインパクト大で未だに鮮烈に記憶に残るキャラクターだった。
ラストは「お前の時代だ、私の時代は終わった」とクォーターメインからソーヤーへの「世代交代」的なシーンがあって、今作を最後に引退したしたらしいコネリーへのメッセージ性を感じさせつつ、「そんなこと言わないでよ、まだまだやれるでしょ、あんたは!」的な監督からのなんかよくわかんないけどものすごいシュールな演出の終わり方で続編アリアリな感じで終わってて、そこもウケた。
もうちょい、腕のある監督にやらせたらまだまだポテンシャルがありそうなユニバースだっただけに惜しい作品。