おらが春

乱歩地獄のおらが春のネタバレレビュー・内容・結末

乱歩地獄(2005年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

エログロ強めな江戸川乱歩作品をオムニバス形式でドラマにしてる映画。
ミステリーだったりホラーだったりサスペンスだったり。様々な方向から刺激が強めな印象。個人的にはすごく好き。

浅野忠信のビジュがすごく良い。ロングの髪をそのままにしてもポニーテールにしてもかっこいい。怪しい感じがなんか癖になる。

江戸川乱歩は中学生の時に数冊読んだくらいだったので、 こんな尖った作品を作るんだとびっくりした。すごく好き。


《火星の運河》
なんだこれは....
冒頭で「演出のため3分15秒まで無音です」というテロップがあり、なんかヤバそうだぞ...と思っていたら想像以上のものが来た。
不条理ってレベルじゃない。「インフルエンザの時に見る夢」なんて例えがあるけどなんの誇張もなく本当にそんな感じ。
でも映像のパワーはえげつない。たった6分半でぶん殴られたような気持ちになれる。
これ原作は何を書いていたのかが気になる。


《鏡地獄》
実相寺ワールド全開、って感じだった。
どこもかしこも鏡だらけ、文字は全部反転、対面してるはずなんだけど対面してるように見えない構図が凄い。

寺田農、堀内正美は完全に実相寺ファミリーって感じがするね。特に堀内正美。
ほかのキャストも凄い。成宮寛貴、中村倫也、市川今日子など強めのメンツ。

鏡に取り憑かれてしまった男の話。呪術かなにかの類なのかと思ったらそういう鉱物があるのか。「鏡が嫉妬するから」と繋がった女を殺すくらい執着してたのか..成宮の狂気の演技がすごい。


《芋虫》
「なんか『キャタピラー』っぽい」と思ったら、『キャタピラー』が『芋虫』をモデルに作られたドラマだったのか!
恐らくこの映画があってドラマ化できた背景があるんだろうな、なんて思ったりしている。

戦争によって手足を無くした男とその妻の話。だと思っていました...全く違うわけではないけど。

須永中尉のシーン、ほんとどうやって撮ってるんだろ。めっちゃ気になる。
時子はめっちゃセクシーだった。濡場みながら「これが年齢制限のポイントかぁ...」ってなってた。主にエロよりグロ方面ですが。

平井=怪盗二十面相だったとは。奥さんが望んだこととはいえ、結構えげつないことをするね...
原作とは違って、須永夫妻にとってはある意味救いのある終わり方になったんだろうか。より怪談チックになった感じ。


《蟲》
田口浩正の登場シーンにゾゾッとした。あんな顔出来んのか怖....

極度の潔癖症な運転手が、愛する女優を殺す話。夢のようでもあり、ある意味1番現実味を感じる。
4作で1番ぶっちぎり刺さった話。
ところどころコミカルで笑っちゃうようなところもある。もしかしてコメディなのかなこれ。

4作全部出てる浅野忠信がぶっちぎり1番やばい人の役で 震えた。
めっちゃ明るい部屋は妄想だしもう最後の数分は笑っちゃうくらいの壊れ方だしいつの間に潔癖症は克服してるしでめちゃくちゃ。「あれ?」じゃないよ!

木下芙蓉、恐ろしく美人だったな。
いわゆる魔性の女って感じ。

この話観れただけでも満足感がすごい。


予告編で『4つの究極の愛を描いた』『世にも美しいスウィートな地獄』という宣伝文句があったけど、まさにその通り。
でも何食ったらこんな話思いつくんだろ。
恐るべし江戸川乱歩。
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