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将軍と参謀と兵のmhのレビュー・感想・評価

将軍と参謀と兵(1942年製作の映画)
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日活が作ったプロパガンダ映画。
中支戦線のとある戦闘を取り上げて、将軍と参謀と兵たちがそれぞれどんな状況にあるかを描いている。
なんとはなしに作戦を練っている士官たちがメイン。ブリーフィングしていると、寝付けない将軍がやってきて、「なんだ、君たちまだやってたのか」みたいなことをいう。愚かで高圧的なパワハラ将軍ではなく、部下をいたわる優しいおじさんだった。
兵士は兵士でテンポよくこじゃれた会話を交わしていたりでかなり牧歌的だった。1942年だったら本格的な学徒出陣もまだなので、ワンチャン、こんな感じだったのかもしれない。
制圧した家屋には「空室清野」(右読み)との標語が書かれていて、それについての会話があった。ググると「堅壁清野」のことらしく、「持久戦を有利に運ぶための戦略」とのこと。
ベトナム戦争の例を持ち出すまでもなく、結局は、持久戦がいちばん大事なのかもしれないね。
敵の姿がいっさい登場しないのも特徴だった。
遠くから狙撃されて、迫撃砲を撃ってくる。この頃の映画にたまに見る火薬の量がすごいタイプだった。
ほかの部隊と合流するはずだがやってこないとか、連絡がつかないとか、もう弾丸がないとか、戦車隊がこないとか、飛行機からの爆撃を待っているとかいう小さな不具合が、クライマックスに一気に解消するので、爽快感がそこそこあった。
プロパガンダが目的のはずなのに、ちょっと反戦思想もにじませているあたりに日活にいた映画人たちの気骨を見る。
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