素朴で可愛らしいけど、ちょっと切ない映画。
ストーリーの詳細についてはネタバレ厳禁かも。
幻想的な雰囲気も相まってお伽噺をみているような。
脚本にテレンス・マリックが参加しているのも納得。
サーカス一座に拾われ、団員たちと家族のように暮らしながらも愛を知ることのない少女。
目の前で親をハンターに狩られ、動物商に売られてゆく子熊。
ふたつの孤独な魂が出逢い、寄り添いあい、やがてそれはひとつの恋になる。
奇蹟は起こる。でもそれは決して幸せなことばかりではないのかも知れない。
お互いを知れば知るほど、好きになればなるほど、同じ世界では生きてゆくことが出来ないのだとわかるから。
それでもふたりは共に生きようとする。「わたしたちはひとりじゃない」という想いだけを携えて。
ロシア、スウェーデン、ドイツ、スペイン…。
旅がすすむにつれ、ローラがどんどん美しくなってゆく。
恋が形取られてゆく様子が彼女を見ているだけで伝わってくるのだ。
サーカス団という表向きには楽しそうだけど明日をも知れない人々の喜怒哀楽は強い生命力に溢れている。
奇蹟などはなから信じることのない大人たちは、ふたりの恋を邪魔するような嫌な奴ばかり。
でも道化師のグロッタだけはすべてをわかってくれていて、ふたりに未来を託してくれた。
思わず巻き戻した奇蹟のラストシーンよりも、グロッタの「さようなら」が一番ホロリときた。