ENDO

コンドルのENDOのレビュー・感想・評価

コンドル(1939年製作の映画)
4.2
冒頭の港の人々の蠢きと、酒場でのアーサーの指揮とピアノのグルーヴに興奮。ウキウキ南米モノかと思いきや、冒頭から若者の死。管制塔と飛行機特撮を行き来する閉塞感のある映画。無線によるコミュニケーションは、事故の確率を減らすかもしれないが、見守るしかない点で観客と重なる。飛行機乗りたちは常に天候と戦う、死との隣接、何という厳しさ。
毎回の離着陸がサスペンスに。ニトロを山間のコンドルの巣へ投下、因果応報、自然からの手痛いしっぺ返し。
裏切り者として業界内で村八分にあっているサイレント期のスター、バーセルメスの仏頂面。モテモテのグラントと比較してあまりに華がない。つまりこの寡黙な仕事人は、カウリスマキによるホークス映画ベストと言わしめるだけあって、その登場人物像に影響が大きいように見える。輝きのヘイワースが平和を乱すが、水浸しになって心機一転。コンドルの群れにブッ込まれて致命傷を負うトーマス・ミッチェルの哀しい最期。仮にコインがどちらも表だとして、その根本は何も変化していないとりあえずの迂路、死ぬまで止められない飛行機乗りの性根。アドレナリンがドバドバ出てる男とその死相にゾクゾクする女。アクションと感情の変化が目まぐるしい。
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