たけかよ

サクリファイスのたけかよのネタバレレビュー・内容・結末

サクリファイス(1986年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

何回見ても頭が揺さぶられる。家が燃えるシーン、あれは一体なんなんだ。アレクサンドルがマッチをすり、シーツに火をつけ始める時、カメラマンは絶対息をゴクリと飲み込んだに違いない!カメラマンの息の荒さが私にはすぐ目の前にその人がいるかのように生々しく感じ取れた。なんだあの緊張は!
この映画にはそんなシーンしかない!長回しで、綿密に考え抜かれた人間の動き、自然がまざまざと映し出されている!映画という枠組みの中でこの美しさとこっちまで手汗を握るような緊張感を映すことができるのはタルコフスキーしかいない。と確信させられる映画だった。もう何度も言うけどラストシーンの家が焼けるところ、ほんとうに凄い。すごすぎる。
私は典型的『日本人的な宗教観』の中で育ったので仏教はおろかキリスト教も全然理解できていないと思う。ただこの映画で語られる犠牲の精神、生贄(サクリファイス)を与えることというのは、なんとなくキリスト教的な考え方だというのはわかるし、色々と考えさせられることがあった。タルコフスキーの映画は全体的に難解すぎて、本当に彼の思惑を理解できてる人なんていないんじゃないかなと思う。ただ、彼の映画を何度も見て、極められた美しい映像に魅せられ、心を打たれ、彼が何を伝えたかったのか考えて、そして彼の映画を勝手に『少しわかった気になる』ということが大事なんじゃないかなと最近思っています。
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