サクリファイスの作品情報・感想・評価

サクリファイス1986年製作の映画)

Offret/Sacrifice

製作国:

上映時間:149分

ジャンル:

4.0

「サクリファイス」に投稿された感想・評価

有酸素

有酸素の感想・評価

3.8
積み上げたものを跡形もなく薙ぎ払ってしまう核戦争への恐怖から自分の手で終わらせる手段へ。東方の3博士の絵が、鏡ごしに揺らめくシーンは水面越しに眺めているようで錯視のようだった。
世界最大の映画遺言 タルコフスキー「サクリファイス」

またしてもエルランドヨセフソンは火を放ってしまった。

ガンに蝕まれたアンドレイはゆらめく炎に何を見たのか?

この映画遺言を捧げられたご子息の言葉をどこかで聞きたいのですがその術をご存知の方、いらっしゃいませんか?
YukiSano

YukiSanoの感想・評価

3.8
ウルトラ難解映画。
寝ずに観られた自分を誉めたい。

無神論者の誕生日に核戦争が始まり、神に救いを求める話…だと思う。スケール大きそうで基本的に家の中だけで話が進む。まるで変な夢のようだった。

ストーカー、ソラリス、と難解さに痺れて観てきたが、本作は輪をかけて難しい。これと比べればソラリスの方が分かりやく感じるなんて…

読みとくことに意味なんてないのは分かっているのだが、宗教画、喋らない子ども、核戦争、魔女、陰陽、燃え盛る家など何かを象徴するものが散りばめられているので脳ミソがフル回転する。ほとんど暗号で出来ていると言っても良いくらい。

生命の樹は何となく分かったが、浮遊するラブシーンまで出てくると、転倒する自転車にさえ意味を考えてしまう。

異様な長回しと、強烈な眼差しのアップ、コントラストと色味が少しずつ変化する映像など、ジワっと染みる映画表現が好き。

答えが提示されないということは、いつまでも考えられるし、またあらゆる解釈を無限に出来る。そんな風にずっと味わい続ける解けない謎映画として二十年後くらいに、また見返したい。
Who

Whoの感想・評価

3.9
よくこんな話思いつきますな!
ただまったく感情移入はできず、というかそういう狙いなのかもしれないけど、カメラの位置が絶妙に遠くて客観視させてるように感じましたね!
盲目的になってる主人公とその周りの人達を離れた所から傍観している、どちらかというと絵本を観ているような。
最後の家が燃えるシーンなんかも圧巻だけど、やっぱり登場人物の表情は一切見えず、ただ慌てふためくシーンを遠くから見てるだけ。
内容もいいけど、こんな撮り方があったのかと思わせてくれる作品でしたね!
zozo

zozoの感想・評価

3.3
「もちろん犠牲にしてますとも。犠牲なくして何の贈り物でしょう?それでこそ贈り物です」
ああ、タルコフスキーを見てしまった。

壮絶の一言。

映画の迫力というのはCGを使っているとか、演技が凄まじいとか、とういうことではなくて、この映画のように画面からひしひしと伝わってくる、「ただものではない感じ」のことを言うのだと思います。

終末戦争を目前にした主人公の男の行動を描きます。救いを求めた彼を通して伝わってきたのは救いではなく、この世界への憂いでした。神は「はじめに言葉ありき」とおっしゃったが、果たして、、、。平穏な日常に静かに訪れた終末戦争の気配。戦いは描かれないが戦争映画で、静かに描かれているがメッセージは強烈。

私はこの凄まじく、しかし難解な映画を全ては理解出来ていません。また数年後に見て、あるいは何度も繰り返し見て、なにか自分なりの解釈とかタルコフスキー監督が難解な箱の中に閉じ込めたメッセージを得ることができるのだと思います。いずれにせよ、また何度も見たいと思わせる神秘的なパワーを持った映画であることだけは確かだと言えます。
pika

pikaの感想・評価

5.0
「ノスタルジア」も異国での制作ではあるものの主演に祖国の俳優を呼び、テーマも言語も祖国になぞらえていたのもあり異国へ出たからこそ祖国への憧憬をさらに高められるような作品となっていて、個人的な意味でも広義的な意味でも「故郷」と言うものを前面に押し出してきたこれまでの作品と地続きな印象が強かったが、今作は海を少し行けば祖国、という距離感さながらに少し趣が異なる印象があり、語り口に新鮮さすらあった。
色彩の変化でただただ酔えるタルコフスキー印は間違いなく健在でありつつも、ロケ地、俳優、スタッフ、制作国からしてベルイマン作品がチラチラ脳をかすめる瞬間があるのはスウェーデンやロシア映画をあまり見ていない経験値不足ゆえか、その新鮮な語り口のせいか、生じた感覚を何か近いもので埋めようとした無意識ゆえか。
台詞や言葉での説明の多さや室内での長回しなど、舞台劇のようにも見える瞬間があったりして、幻想世界と言うよりも現実が非現実になるような、寓話かお伽話のような質感が作品の魅力になってる。

タルコフスキー自身の信仰心やイコン画からロシア正教会の宗教観なんだろうと知識がない中でマリアの存在や奇跡への祈りなどを解釈しつつ、日本というアイコンのせいもあるのかどこか仏教的な、釈迦の哲学のような「個人の生き方」「死への向き合い方」みたいなものの一端も感じられた。
それは数多ある宗教観を取り除いた人間心理や哲学などの概念なのか、自分なりの解釈も今の所フワッとしたまま。

小難しい概念や象徴的な印象を取っ払えばとてもシンプル且つ不思議なお話で、世界か個人かは関係なくいつかは必ず訪れる「死」という終末に対するタルコフスキーの回答と言うのか、「俺的にはこう思うから次世代へ伝えたいぜ」という熱烈な「意志」が図らずも「遺志」になったような(脚本執筆時には病気に気づいていなかったことから)これまで過去や現在についてというか自分自身を語る私的な映像詩芸術を生み出してきたタルコフスキーが、未来へと意識を向けて作家のメッセージを込めたドラマ的な要素を色濃くした新たなステップだったのかなとも思える。

タルコフスキー作品は見た人の状態によって形を変えるような芸術作品たる味わいがあるので、対面したときの人生経験や精神状態、瞬間の感情によって同じ作品でも感じ方が変わってくる鏡のような何か、他では得難い多様性がある感じがあり、今回は息子やマリアの存在よりもアレクサンデルの人物像が印象的で、「芸術そのものになろうとする俳優」でありその道を極めたアレクサンデルが絶頂の瞬間、「役に自分を奪われる恐怖」によって演じることをやめ、メイドから「傷つけられ追い詰められている」面と「傷つけられるべき」面を語られるアレクサンデルという人物が、それまでの自分の結晶である家と家族を賭しても祈りを捧げた純真な姿に惹かれるものがあった。

レビュー長っ。。

【1回目】2016年9月26日
Saki

Sakiの感想・評価

3.5
これを理解するのには、私の人生をサクリファイスしなければいけないかも…と思える映画だった。

最後のファイヤーーーがやばかったなぁ。
途中「18歳のままの息子が写った」という話がこの映画のミソな気がしましたよ…

これを高評価できない我、まだ未熟なり。
世界を……というかセカイを救うために、妻子ある身でありながら、物憂げな雰囲気の女中とベッドを共にして浮遊し、自宅に放火。ヤバイ話である。
この人の作品は、世界が終わろうが奇跡が起ころうがどこまでも果てしなく私小説であるということだけは確か。

演劇的な動きや見せ方、台詞が際立つ。それについては、まぁ、好みがあると思う。

ラストのシークエンスがやはり有名なのだろう(僕も驚嘆しつつ見た)けど、オープニングの長回しが輪をかけて長く印象的でもある。
モナ郎

モナ郎の感想・評価

4.5
子供の頃、夜中の3時くらいに目が覚めてしまった時の不思議な感覚、または得も言えぬ不気味な終末感を久しぶりに感じた。
そして、主人公のオッサン、あんたはよくやったよ・・と言ってあげたい気持ち。これは希望のバトンがギリギリ繋がった話だと思いたい。よくわからない部分もたくさんあるし、一つ一つの場面に色んな意味が込められていそうだけど、今はただ、なんとなく感動した。
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