椿本力三郎

ソーシャル・ネットワークの椿本力三郎のレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
4.1
Facebook開発前後のストーリーを通して、
資本主義とは何か、その光と闇について語られている。
すなわち、本作の主人公は資本主義のダイナミズムであって、
マーク・ザッカーバーグでさえ、
それに振り回されるパーツに過ぎない。

また、資本主義のコアには、
アニマル・スピリットがあることを思い知らされた。
若気の至りそのものの自己承認欲求、マチスモ、エリーティズム、
野蛮さすら感じさせるスピード、パワフルさ。
この時代にスケールする事業は経営者の人間的な成熟も組織の成熟も待ってくれない。
作中でザッカーバーグと訴訟になった、複数の関係者(かつての仲間)とのケリのつけ方が、
それもまたいかにも資本主義的で、ザッカーバーグ個人の「人生の幸せ」にどの程度、影響を与えているのか、
鑑賞後の余韻の中で考えさせられた。

近年、これまで多くの国や文化で無自覚のうちに肯定されてきた資本主義やマチスモに対する批判を含意する作品が増えているが、
本作もそのカテゴリの中心に置かれるべきものと言える。