椿本力三郎さんの映画レビュー・感想・評価

椿本力三郎

椿本力三郎

永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.7

ウィレム・デフォーの怪演。

自画像からそのまま出てきたような感じで
ゴッホ本人出演のドキュメンタリーかと思わせるほど。
セリフも哲学的で
何かを創造しよう、突き詰めていこうとする人に響くのでは。
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パーマネント野ばら(2010年製作の映画)

4.4

私は西原理恵子の名作「ぼくんち」の世界観が大好きで
何度読んだかわからない。
人間の業に対する、表面的には厳しく、しかし温かい視線を感じるからだ。

本作もそのような西原の世界観が全開となっている。
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.4

エンタメに徹した潔い作品。
前作よりも洗練された世界観が心地よい。

メリハリの効いた作品で
ユルい日常とキレキレのアクションのギャップ。
アクションは香港映画のテイストで
格闘シーンは往年のジャッキ
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

4.4

ネガティブなレビューが多いが、私は本作を全肯定したい。
見事に前作の現代社会批判の角度と温度を踏襲しており、
さらにそのメッセージは本作を通して厚みが増したと思う。
大衆の暴走、狂気、無責任さ。ポピュ
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

2.5

ストーリーそのものの魅力だけでなく、
阿部サダヲや中山美穂の安定感のある演技や存在感を考えると
もっと作品全体として「人間の業」に迫るような、また社会・時代批判も込めた深いメッセージを提示できたように
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.6

とても粋なロードムービーだった。
善悪や損得を超えた「粋」とは何かについて、
フランス映画に教えられた。
タイトルの「パリタクシー」も過不足がなくとてもしっくりくる。
また、ベースとしてはベタでわかり
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ミッシング(2024年製作の映画)

2.8

モヤモヤ感しか残らない駄作。
何だこれ???

「取材される側」だけでなく、
「取材する側」にも人生や生活があること、
そのズレをSNSという武器を手にした「大衆」が加速させ、過激化する。

作品が伝
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ぼくのお日さま(2024年製作の映画)

4.4

私は奥山大史監督の作品を心待ちにしていた。
前作「僕はイエス様が嫌い」での問題提起が
あまりにも鋭くて心をえぐってきたからだ。
そして本作は期待を大きく超える満足度であった。
前作は信仰、本作はセクシ
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

3.8

クズでだらしない男がどうしてこんなにキラキラして見えるのだろう。
ラストシーンの不器用さが切なくて
江戸落語のような情緒があった。
ディアオ・イーナン監督作品はこれから全部見よう。
主演のリャオ・ファ
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(1954年製作の映画)

4.0

1957年の作品。

映画的な「誇張と省略」が効いた作品で、
主人公のクズ男の「女性への見境の無い、手の早さ」について、
直接的な描写・表現は一切ないが
女性の目線やたたずまいを通して
「それがあった
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そばかす(2022年製作の映画)

4.1

映画「ドライブ・マイ・カー」、そしてドラマ「エルピス」で存在感を示した三浦透子の主演作ということで興味を持ち、
さらにその三浦が演じる主人公が「蘇畑佳純(そばたかすみ)」という名前で、
作品のタイトル
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.5

それぞれの登場人物が
絶望の中でほんのわずかだけ手にした希望や期待。
それらはとても儚く、頼りなくて、
これでもかこれでもかと裏切られていく、
そんなエピソードが複数、同時平行で進んでいく。
細くて長
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.4

河合優実のスケールの大きさを見せつけられ、圧倒された。

自由奔放に生きているわけでも
もちろん計算しているわけでもなく、
「ただただ生きている」女性の生態を定点観測的に眺めている、
あたかも「野生動
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侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.4

たとえば映画「ディナーラッシュ」や「ボイリング・ポイント」が
レストランの現場や経営に直接関係しない人の魂も揺さぶるように
本作の熱量は映画制作や日本刀、時代劇になじみのない人であっても、心を鷲掴みに
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

5.0

「一万年、愛す」
もし20代でこの世界観に触れるラッキーがあったのならば
むしろ40代後半だからこそ、また見返すべきだと思う、可能であればシアターで。
不器用な恋愛ではなく、好き過ぎて「恋愛が不器用」
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砂の器(1974年製作の映画)

3.8

原作未読。
恐らく本作のミステリーの部分、
犯人を追い詰めていく展開は
原作においてはもっと繊細に描かれているのだと思うが、
映画だと尺の関係もあって、正直、非常に強引に感じた。
しかし、刑事役である
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マッドマックス(1979年製作の映画)

3.8

あの時代のクルマ好き、バイク好きの少年を熱狂させたことは
容易に想像できる、冒頭から激しいカーアクションの連続。
暴走族の描き方が「本能むき出し」感満点で、
まるで「わくわく動物ランド」を見ているよう
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.5

台湾と日本を舞台にしたロードムービー。
若い台湾人起業家の栄光と挫折、その喪失と回復の旅。
彼の原体験となっている18歳で出会った日本人女性について。
作中に何度も登場する「一休みはより長い旅のために
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ロストケア(2023年製作の映画)

4.1

犯人の動機である「ロストケア」という考え方の傲慢さの一方で、
それに救われた人もいるのではないかという重い問いかけ。

松山ケンイチと柄本明の「対決」はお見事。
サイコパス的な役について、
マツケンで
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ミュンヘン(2005年製作の映画)

4.4

実話に「インスパイア」された作品であるが、
現代においてもセンシティブなテーマが
重層的に含まれており、本作のメッセージはまったく色褪せていない。

スピルバーグの緩急自在の見事な映画技法によって
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7月4日に生まれて(1989年製作の映画)

4.1

キューブリックの「フルメタル・ジャケット」は、
ベトナム戦争の戦地に向かう前の兵士個人に生じる「アイデンティティの混乱」を描いているが、
本作は、戦地から帰還後の「アイデンティティの混乱」を描いている
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.7

今泉力哉監督は「恋」あるいは「恋に似たエモい感情」を描くのが上手い。
それらは一方通行で、暴走気味であることが多いのだが。

本作は、ハロプロ(特にモー娘。、松浦亜弥)全盛期に
いわゆるアイドルの推し
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.9

本作の小泉徳宏監督が帰国子女であることを知った。
そのことが彼の作品群からそこはかとなく感じる「日本的なもの」へのリスペクトにも影響しているのだろう。

すなわち「ちはやふる」シリーズでは「競技かるた
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朝が来る(2020年製作の映画)

1.5

最低。
特別養子縁組制度における「生みの親」に対する悪意と偏見に満ちた描き方。
しかも相当に古い価値観に基づくもの。
関係団体から抗議を受けるんじゃないかと心配になってくるレベル。

ストーリーの展開
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.1

主人公である「ドラゴン・タトゥーの女」リスベットについて
ルックスのクール&パンクさも
喜怒哀楽や愛情表現も
仕事における有能さも
その存在のすべてが過剰であることを
余すことなく演じ切ったルーニー・
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ブルース・ブラザース(1980年製作の映画)

3.9

警察、刑務所、税務署、政治団体、高級レストランやbarの経営者を
すなわち、広い意味での権力者を「豪快に、ひたすら小馬鹿に」していく。
コメディであり、本格的なミュージカルであり、そして社会風刺でもあ
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37セカンズ(2019年製作の映画)

4.5

映画に希望は必須か?
鑑賞後にそのような言葉が思い浮かんだ。

本作の序盤中盤の90分は5点満点の4.5点、
一方、終盤の30分は5点満点で2点とせざるを得なかった。
序盤中盤の「切れ味」が見事で、
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ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

4.5

「ちはやふる」シリーズの「上の句」「下の句」が
あまりにもフィットしたので、その勢いのまま「結び」を見た。
本作においても「アオハル」の疾走感は止まらず、
最後の最後までキラキラまぶしいシーンが続く。
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ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)

4.7

【「上の句」も踏まえたレビューです】:
私はインド映画「ダンガル」を通して
アマチュアレスリングのルールと醍醐味を知ったのだが、
この「ちはやふる」シリーズを通して、競技かるたの奥深さを知った。
その
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アリータ:バトル・エンジェル(2018年製作の映画)

4.4

本作は今後、映像表現の歴史において重要な位置を占めるのではないか。
「映画化の技法」の多様化と進化・深化が見えた画期的な作品として受け取るべきだと思う。

日本の漫画が原作で
その世界観の映画化におい
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.9

わざと「付き合いにくさ」を作っているような頑固で偏屈な人は、
その背景にそれぞれタフでハードな「人生」を抱えているケースが多い。
これは年齢や性別、社会的な地位には関係がない。
むしろ一定の年齢になる
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.1

多くのレビューで指摘されている、本作における前半と後半のテンションの違いについて。

ベトナム戦争下、海兵隊の隊員を育成するブートキャンプにおいて
過剰なコストとリスクを取っていたことをシニカルに描く
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テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)

4.4

主人公のテルマとルイーズはストーリーが進むほどに
その時代の常識やマナーから次々と解放され、
その分、自由を得ていくように見える。
多くの無駄な荷物を降ろすように。

本作に登場する男性はいずれもクズ
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ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

4.5

ずっとリストに上げていたが、やっと見ることができた。
そして激しく反省している。
どうしてもっと早く見なかったか、
そして本作を見ずして広瀬すずを語っていたことを。
作中ずっとアオハルがほとばしる。
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冬薔薇(2022年製作の映画)

4.1

本作のような「人間のクズ」にフォーカスした作品を見るたびに
人間は社会的な動物であり、
どの環境で、どのような人間関係で育ったか、導かれたかが
その後の人間形成において決定的に大切なのだと思わされる。
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マミー(2024年製作の映画)

4.9

「和歌山カレー事件」のその後を追ったドキュメンタリー。
この事件に迫る作品のタイトルを「マミー」としたことが象徴的で、
被告本人ではなく、家族を中心とした周辺から
事件の本質を浮かび上がらせていく。
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