このレビューはネタバレを含みます
予想外の面白さ。
冒頭からの時系列を弄ったミステリー仕立ての構成が素晴らしい。ドキュメンタリーではなく、ドラマとして楽しむべき秀作。当のザッカーバーグ本人には毛ほども興味が無いけれど、世界に対して微妙に歪んだ天才の可能性と哀愁が十分に描かれている。
この映画が描くのはザッカーバーグではなく、人間だ。エリカとの冒頭の口論に始まり、ラストのページ更新アタックで終わる。その過程で経験された成功と挫折は、全てその2つのシーンに集約されているように思える。人間は自分の世界を持っている。だから他者とすれ違うことになるし、新たな世界を生み出すことが出来る。
Why don't you just concentrate on being the best you can do?
エリカの言葉が、サベリンとパーカーを失った孤独なザッカーバーグのラストシーンでリフレンする。私たちはずっとそうやって生きている。失ったものは取り戻せないかもしれない。だが可能性が目の前に有るならば、そのボタンを押し続けるしか無いだろう。