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一人息子のmaiのレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
3.7
勉強すれば出世できると信じて疑わなかった親子が、世間はそんなにうまくできてなかったか…と感じる作品。
井の中の蛙大海を知らずってこういうことなのかな。

貧しいながら、子どもに勉強をさせて「出世しなさい」と言ってきた母親。
子どもは子どもで、勉強すれば出生できると勉強に打ち込みます。

数十年後、久しぶりにのぞいた息子はむしろ貧乏な方で、決して出世とは言えない生活。
その様子に気を落としてしまった様子を隠せない母親に、そんな母親に自分たちの生活で見栄を張ってしまう息子。
今からでも出世できると母親は言うけれど、息子はとうの昔に自分に出世の才能はないことを悟っているわけです。その希望と現実が噛み合わない感じがずしっときます。
最後は「出世うんぬんよりも人柄だ」のような形でまとめられますが、それでも残る切なさはあるなあと思いました。
生まれた子の行く末を考えると尚更。
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