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ワンス・アポン・ア・タイム/天地大乱のtakのレビュー・感想・評価

3.8
リー・リンチェイ、もといジェット・リーが実在の英雄ウォン・フェイ・フォン(黄飛鴻)を演じたシリーズもの。初めて観たのが本作。いっやー今まで観ていなかったのが悔やまれる。面白いわ。何よりも脚本がいい。

勧善懲悪に終わるのがこの手のアクション映画の常套手段だけど、この映画の登場人物は、単純に2つに分けられない。外国人を排斥しようとする白蓮教団、白蓮教に手を焼いているが外国とはうまくやらなきゃいけない清朝の役人たち、革命を起こそうとしていることから清朝の役人達に追われる孫文たち、そしてともかく善を貫く我らがウォン先生。立場の違うこれらが入り乱れていく面白さ。

単純な2つのグループのバトルに終わらないから、クライマックスは危機また危機で息つく間もない。さらに激しいアクションと弟子フーとのユーモラスなやりとり、ロザムンド・クァンとの恋まで加われば、娯楽映画の要素のすべてがある。そう言ってもいいかもしれない。

今ではこの映画のような時代劇は製作されることすら少なくなったのは悲しむべきことだ。それ故にこの映画の輝きはいっそう強くなる。白蓮教団のクン大師との対決は、ワイヤーワークを駆使して見事な見せ場になっている。机を積み重ねた祭壇の上での決闘は、手に汗握る名場面。そしてラストを飾るドニー・イェン扮する提督との対決。平面に収まらないバトルフィールドは香港映画おなじみの竹の足場を使ったアクロバティックなものになっている。二人の対決はチャン・イーモウ監督の「HERO」で再び見ることができる。この「ワンチャイ」を見たら、他の映画でドニー・イェンが棒術使いというだけでお涙もの。その一つが「ローグ・ワン」だったりする。
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