スローターハウス154

ブレア・ウィッチ・プロジェクトのスローターハウス154のレビュー・感想・評価

3.1
2020/5/6

『カメラを止めるな』を思いだす鑑賞中。たしかに恐怖に遭遇したとき、ビデオ撮影という第三者的な手段を用いればある程度冷静さを取り戻せるのかもしれない。
森で迷ったらどうするかというライフハックをググる。昔、道に迷うと人は同じ場所をグルグルと回ってしまうという記述をどこかで読んだことがある。未開の地を進むときは、ヘンゼルとグレーテルのように何か目印をつけながら行くのがベター。パン屑ではなく、環境保全面からするとあまりオススメできないがスプレー缶で木々にチェックを付けていく等。あるいは、川の下る方向に人の住処があると信じて進んでみる。運が良ければ釣り人に会えるかもしれないし...と愚考を巡らせられるくらいには暇を弄ぶ鑑賞中。確かにホラーではあるけれど、グロやオバケ、モンスターの出演は皆無。正方形の狭い画面に映らない、画面の外側で起こる恐怖に想像を巡らせるのがキモである今作。
ホラー映画やお化け屋敷に入った時などにしばしば思うことは、目の前に現れた恐怖の対象よりも、それに反応する人間の叫び声の方がよっぽど怖い、ということ。隣にいる(あるいは画面の中にいる)奴の叫び声さえなければ、こちらも釣られて理性を失わなくて済むのに、と思う。僕はどちらかというと恐怖を前にすると、息をのんだり押し黙ってしまう。恐怖に出会う時に思わず発してしまう叫び声には、一体なんの役割があるのかという謎が生まれた観賞後だった。