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祇園囃子のガクのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
3.8
京都の祇園や木屋町を何度か通った事があるが、なるほどあれは舞妓さんの楽屋兼住まいで、あれは料理屋で、あれは練習場でという風に、舞妓世界の事が少し分かった。茶道、華道、芸事を学んだ美しい女性たちがガイジンや親父に結婚という形式を通して買われるのは、なんとも無常。祇園はそういった女性の呪いで満ち溢れた心霊ストリートになってもおかしくないくらい。

美代栄のあの東京でのシーンの見せ方が凄い。ワンショットだけで強烈に印象に残る。

溝口の映画はカメラと人の距離感が良い。少し遠目で、画面に線が入る事で構図がパッキリする。そこで木暮美千代や若尾文子が綺麗に動けば一気に絵画のようになる。

ちょうど『浮草』で観た田中春男が一瞬出てきた。すゑひろがりずの三島に見えて仕方なかった。笑
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