わせ

祇園囃子のわせのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
4.0
舞妓さんを描いた作品ということで、今までに観た溝口映画の中で一番、たくさんの着物姿の女性を拝むことが出来た。舞妓さんがお囃子の音に合わせて 蝶のようにひらりひらり舞う、何と綺麗なこと。溝口健二の撮る定点ショットは人も背景もひとつの絵のように完璧に 耽美的に纏めてしまう。祇園という檻、男を前に彼女らは無力 逃げ出せない。そんな中で自分というものを殺さずに居ること 悲しいことに、それはあまりにも難しくて。打つ手もなく旦那を取る舞妓さん。可愛がっている弟子を守るために着物を脱がされる美代春。華やかな祇園は女の犠牲で成り立っているのだ。美代春と栄子、違った美しさを放っているけれども、芯の強さには近しいものを感じる。終盤、今日から美代江(栄子)ちゃんの旦那はわたしや! なんて…美代春に惚れてしまいそうになった。嘘の蔓延る世界だけれど、そんなふたり絆の深さ、それだけはきっと真正だし 永遠である筈。
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