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こんな私じゃなかったにのkossのレビュー・感想・評価

こんな私じゃなかったに(1952年製作の映画)
3.6
神楽坂はん子の歌や台詞が何度も繰り返される。物語は伝統的なメロドラマだが、そこにモダンを融合させる川島雄三らしい作品。花柳界と借金返済、子連れの寡婦、階級差など成瀬巳喜男を思わせる主題を青春映画に置き換える二重構造が面白い。壁越しの部屋移動や通りを歩く二人の横移動、多用される俯瞰。研究室の屋上ときらめく星、語り合う二人。水原真知子の踊りと芸者化粧の変貌、桂小金治の太鼓持ち芸、宮城千賀子の妖艶さも良い。

これを日活以降の川島が撮っていたら、明らかにダークなコメディにしていただろう。
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