イチロヲ

男はつらいよ 寅次郎紅の花のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
後輩女子(後藤久美子)の見合い結婚を知らされた甥(吉岡秀隆)が、幸せ探しに腐心する。国民的人情喜劇シリーズの第48弾。渥美清は本作の公開後、1996年8月4日に肺癌で死去している。

阪神淡路大震災を背景にしており、被災地の報道映像に「フォレスト・ガンプ」よろしく寅次郎が映り込むという演出が採用されている(デジタル合成技術を使用)。また、本作では放浪の歌手リリーが再登場するが、「リリー3部作」には数えられていない。

今回のマドンナは、奄美大島で寅次郎を世話する・浅丘ルリ子(同じ役柄で4回目の出演)。長い年月を経てからの邂逅が描かれるが、あくまでも「寅次郎が破ることができなかった殻を、吉岡秀隆は破ることができるのか?」というドラマ展開が主軸となる。

元々、全50作での完結を目指していたらしく、本作のドラマの幕引きが随分と中途半端なものになっている。衰弱する渥美清を共演者が全力でサポートしているところが、美しくもあり、切なくもあり、また儚くもあり。
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