たく

最高殊勲夫人のたくのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
3.8
長女・次女と続けてきた大企業重役との政略的結婚を三女にも継がせようとするえげつない話を、増村保造監督の手練れた演出と若尾文子・川口浩の名コンビの組み合わせで軽妙なコメディに仕立ててるのが見事だった。

若尾文子はまだ「青空娘」のあどけなさが残る感じで、高度経済成長期の日本で男女が恋の探り合いをするあたりが、こないだ観た「女経」の「耳を噛みたがる女」のプロトタイプという感じだったね。
全てを自分の思い通りにコントロールしようとする長女役の丹阿弥谷津子のギラギラした怖さがハマってたのと、それに振り回される気弱な船越英二の対比が効いてた。宮口精二が珍しく毒の無いお父さん役だったね。

最後のバーで素直な気持ちを言い合うシーンからのラストショットまでの運びが素晴らしく、話そのものはエグいはずなんだけど爽快感が残る。
たく

たく