三隅炎雄

極道兇状旅の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

極道兇状旅(1970年製作の映画)
4.0
7作目。次の『極道罷り通る』との間に2年あって、実質これで打ち止めといったニュアンスのラストになっている。映画はかなり丁寧に撮られたもので力作と言っていい。
肩書に弱くおっちょこちょいの極道若山富三郎が保守党政治家とその取り巻きヤクザに騙され、革新党候補とそれを応援するドヤの零細新聞社の弾圧に利用されてしまう。左派新聞社の赤座美代子が、山下の代表作『博奕打ち 総長賭博』の名場面を再現するかのように若山を全否定するくだりが面白い。若山は鶴田浩二どころではない大きな衝撃を受け意気消沈するのだが、そんなのルンペンプロレタリアートのヒーロー島村清吉らしくないぞと、清川虹子が旦那のケツをたたいて殴り込みに行かせるのがいい。清川に応えるように、映画は1作目に近い若山の凄惨な暴力描写で幕を閉じてみせた。
三隅炎雄

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