takanoひねもすのたり

丑三つの村のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

丑三つの村(1983年製作の映画)
3.4
おばやん、俺を夜叉にしてくれ。

昭和の大量殺人事件『津山事件』を題材にしたもの。再鑑賞。

時期は日中戦争が勃発してすぐ国家総動員法が公布され、市井では戦争ムードが盛り上がり。男子なら兵隊になってお国のために戦うことが誉れ、それこそが大事と常々考えていた主人公・継男。
しかし徴兵検査で『結核』のため不合格。
その噂があっという間に村に広がり、継男は村人から避けられ、蔑まれ、風評に段々と怒りを募らせる……が大筋。

ぼんやりと観ながら『夜這い』のシステムを知らなかったら(おぅ……乱交村やん)(女性側も積極的ぃ)とか旦那が出征中の人妻が忍んでくる男をほいほい受け入れる……っていう田舎の閉鎖的な村のエロな方面にフォーカスしちゃいそうだなあ……と考えてた。
それも間違いではないし、監督の意図に盛り込み済だと思うけど。

この事件の波で『村落共同体に残る男女の因習』が注目されて夜這いは時代を経て否定的になっていったけれど、もとの歴史を遡れば合理的なシステムでもあった面もあり。

光源氏だって夜這いが得意な貴族だ(フィクションだけどw)

授乳中に訪いされて乳が滴るおっぱいは違う性癖の扉を開けそう。

冒頭では手で触れられ「鉄砲早撃ちやなあ」と言われた継男が、人妻で筆下ろしをして、テクを覚えてのがっつき具合の差よ。

クライマックスの「ババア!!夜這いに来たぞ!!!!」が2番目に強い。

みなさま方よ、さようならでございますよ。

継男の、おばあちゃんに大事にされてきた育ちのよさと山程人を殺しても取り乱さず、丁寧な物言いで吐き捨てる、正気ではない感があって良きラスト。