このレビューはネタバレを含みます
昭和初期に起きた猟奇事件を元に、村人30人を殺した青年の狂気を描いたサスペンス作品ということで。
まず触れたいのは、池波志乃や五月みどりら豪華女優陣の体当たりな演技には思わず「すごい」の一言。村の風習である"夜這い"を描いたシーンではあるが、ただのお色気シーンではなく、女優陣それぞれの個性、魅力が見事に反映したものになっていて、とても美しいです。そして、犬丸継男を演じた主演の古尾谷雅人だが、前半はなよなよとした青年を演じていた事もあり演技が微妙に感じたが、犯行時の狂気に満ちた表情には鳥肌が立ちました。そもそもこれが実話なんて恐ろしいですね…。ただ、本作は話がわりとあっさりとしている。時代背景や村の風習、日常、犯行に及ぶまでの継男の心境は描かれてはいる。用意周到なのもわかる。だが、描かれていない事が多々あり、犯行に計画性がないのと物足りなさが。あと、継男の心境を表現しているであろうBGMが少し爽やかすぎるかと。気分が晴れているのは伝わるが、唐突過ぎて気持ちがついていけない。
