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隣る人のtontonのレビュー・感想・評価

隣る人(2011年製作の映画)
4.0
地方のとある児童養護施設の中の人たちを追ったドキュメンタリー映画。
本来親から与えられる愛情を保育士さんに求め、時に一緒にくらす子供達でその愛情を取り合ったりする。
保育士さんたちは深い愛情を与えているし与えたいと思っているが、親ではない、いつでも共にいる存在ではない、むしろ自分たちと一緒にいない状態になることが幸せなのではという葛藤ととも共存している。
だからといって、児童養護施設で生活するには悲しく切ない多くの理由があったのだろうが、児童養護施設での生活は決して悲しいものではなく、そこで暮らす子供たちはとてつもなく可愛く愉快な奴らだった。
疑似家族ではない、別に家族である必要もない、ただ誰かにそばにいてほしい、誰かのそばにいたい、そんな本能的な欲求があるだけ。
僕らみたいな恵まれた人間が万分の一も「分かる」なんて言えない問題なのだが、そこの視線から色々なものが見える。
それも、この映画が何か思想や意図に偏りすぎた撮影や編集ではなく、ただ寄り添うように彼らを写した監督の手法のおかげだとおもう。
もしかしたら、不謹慎な言い方かもしれないが誤解を恐れずにいうなら笑って泣ける面白い映画です。
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