隣る人の作品情報・感想・評価

隣る人2011年製作の映画)

製作国:

上映時間:85分

4.3

あらすじ

新聞やテレビで、「児童虐待」のニュースを目にすることがまれでなくなった昨今。しかし、そのニュースはセンセーショナルに報じられるだけで、子どもが生きる現場に寄り添い、なにが大切なのかを深く洞察した報道は少ない。「隣る人」は「子どもたちと暮らす」ことを実践する児童養護施設、「光の子どもの家」の生活に8年にわたって密着しその日常と人々の姿を描いたドキュメンタリーである。

「隣る人」に投稿された感想・評価

Yuka

Yukaの感想・評価

3.5
保育士マリコさんの子供たちへの愛が深かった。
本来これは親の役割なのにと思うと悲しい。お母さんがあの子とは暮らせませんっていうところ、ものすごく悲しくなった。あんたの子やろ!って思ってしまう。。
虐待されたりするよりは施設で育つ方が良いのかもしれないけれど、子供同士の愛情の奪い合いも悲しい。
保育士さんがいなくなるときに泣き叫び続けた女の子のシーンはぐさっときた。本当のお母さんがいなくなる経験があるから余計なのかな。

子供を産む責任はすごく重いなあ。

この映画でリアルな小学生を見ると、無垢の祈りの主人公が更に悲しく思える。
養護施設で生活する子たちの生活を追ったドキュメンタリー。淡々と綴られていく内容に厳しい現実の中で生きる子どもらに思いを馳せる。
親って存在が幼少期の子供にとって、どれだけかけがえのない存在であるか。
血のつながりなんて超えて、親という太陽から子が光をどれだけ受けて育つか。何人かの子供達にクローズアップして、どんな子が直接的には明かされないもののどんなものを抱えてるものとか見えてくるようだった。
子供達が泣き叫ぶ事でシグナルを発していたり、言葉が気持ちと反する事を言っているのもサインになってたりするのも伝わり、国民の義務区的に見るべき作品でした。
ずっと観たかった映画でした。

ここで描かれていることは決して他人事なんかではなく現在も私たちの隣で起こっていることであり、私たち自身にだって置き換えられることです。大人の都合で施設から出たり戻ったり…子どもは社会に於いては非常に受動的な存在だからこそ、我々大人が環境を整え受け皿を提供しなければいけないと思いました。

「ずっと一緒にいようね」からのムツミちゃんの表情は一生忘れることができません。説教臭く聞こえるかもしれませんが全編通して子どもは可愛くホクホクしながら鑑賞致しました。そして、これからもこの映画のことを考え続けていこうと思います。
tonton

tontonの感想・評価

4.0
地方のとある児童養護施設の中の人たちを追ったドキュメンタリー映画。
本来親から与えられる愛情を保育士さんに求め、時に一緒にくらす子供達でその愛情を取り合ったりする。
保育士さんたちは深い愛情を与えているし与えたいと思っているが、親ではない、いつでも共にいる存在ではない、むしろ自分たちと一緒にいない状態になることが幸せなのではという葛藤ととも共存している。
だからといって、児童養護施設で生活するには悲しく切ない多くの理由があったのだろうが、児童養護施設での生活は決して悲しいものではなく、そこで暮らす子供たちはとてつもなく可愛く愉快な奴らだった。
疑似家族ではない、別に家族である必要もない、ただ誰かにそばにいてほしい、誰かのそばにいたい、そんな本能的な欲求があるだけ。
僕らみたいな恵まれた人間が万分の一も「分かる」なんて言えない問題なのだが、そこの視線から色々なものが見える。
それも、この映画が何か思想や意図に偏りすぎた撮影や編集ではなく、ただ寄り添うように彼らを写した監督の手法のおかげだとおもう。
もしかしたら、不謹慎な言い方かもしれないが誤解を恐れずにいうなら笑って泣ける面白い映画です。
かなり生き方が変わった。
自分は貧困問題に関心を持ってホームレスの夜回り活動やこども食堂というこどもの貧困に対する地域での活動に参加していた。その出発点は、自分自身が貧乏な家に生まれたことだが、しかし「どうすれば貧困問題を構造的に解決できるのだろう」というマクロな目線だったし、語る言葉は「ソーシャルビジネス」「行政の改革」などといった抽象なものであった。

この映画では、小さな出来事が淡々と語られていくだけだ。母親がまた帰ってしまうこどもに、お出かけから帰ってきたときにどうまた関わるか。スタッフの取り合い、愛情の奪い合いの中でみんなに平等に愛情を注ぐにはどうすればいいか。自分自身がいかに、困っている身近な周りの人の「隣る人」になれるかをつきつけられた。
事情があって親と暮らせない子供を預かり育てる、という施設に密着しカメラを回しているドキュメンタリー映画です。いわゆる「児童擁護施設」のひとつを追いかけているのですが、私には衝撃的な映画でした。子供、というまだ弱くて未成熟ではあるのですが、自我が存在する人間を育てる、という事がどういうことなのか?を突きつけられる映画でした。

児童養護施設で暮らしている保育士マリコさんが担当する2人の女の子、小学校低学年と思われる少し言葉使いは悪くて駄々っ子のムツミとやはり小学校低学年の甘えたがりのマリナ。さらに数十人の子供たちに加え、職員の数も多いですので、下駄箱はなかなか壮観な光景になっています。そんな毎日を淡々と映し出すのですが、その淡々とした日々の中にも大きな起伏があり・・・というのが冒頭です。

子供という人間の存在を、その純真であるが故のもどかしさを感じずにはいられない作品でした。またその子供に、そしてこの施設で暮らす子供に寄り添うのが保育士さんという方々です。この方たちの、真に純粋な考え方をもった方々がいらっしゃる事そのものが素晴らしい事だと思います、とても真似できない、そしてこの保育士さん方のご家族はどうしていらっしゃるのだろう?という素朴な疑問(ここまで施設の子供に寄り添う生活をすることは、現実の家族との繋がりを希薄にすることに他ならないのでは?)さえ浮かぶくらいの献身ぶりです。

わずかに感じさせる恐らくキリスト教の影響を感じずにはいられないものがありました。信仰という人を突き動かすチカラの凄さを感じずには居られません。

また、あるシーンで泣く泣く別れを経験する子供の、真剣な恐怖は、戦慄を覚えるほどのショックがありましたし、終盤ある子供に流れが収束してゆくんですが、その顛末の親子である2人のそれぞれの想いが、蟠りを感じつつも良かったと思え(のは、この後2本立ての「はちみつ色のユン」を見たからで、この2本立てを考えた人が凄すぎる!!!!!)ました。

保育士さんと子供の繋がり、そして子供たちの喜怒哀楽の激しさの中に、心打つ物があり、正直言って結構ショックでした。私はどちらかと言えば『家族』に対してそれほどの強い繋がりを求める方ではありませんし、結局のところ、血の繋がった『他者』であることに変わりないと感じてるんですが、やはり子供の頃がいかに恵まれていたのか、と思わずにはいられませんでした。いろいろは感謝はしております。
Maho

Mahoの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

様々な事情で親と離れて暮らさなければならない子どもたちの、ある児童養護施設での8年間ものドキュメンタリー。
映画自体を2年くらい前に知ってからずっと観たいと思っていたのですが、DVD等にはならない作品だと知らず、偶然、上映会を知ってやっと観ることができました。

担当制によって決められた職員さんと子どもたち。けれども、たとえ血の繋がりが無くても無条件の愛情で包み込んでくれることで安心や信頼、愛着が芽生え本当のお母さんのように抱きついていく子どもたちがとても愛おしくなりました。

85分間の映画の中にたくさん散りばめられた子どもたちの姿のひとつひとつが印象に残って頭から離れません。周囲の大人や友達に暴言を吐きながらも、言った後のどこか寂しげな瞳や1人で歩いていく様子、担当の職員さんがどうしても離れなければならくなり泣きわめいている子をじっと見つめていた子がその気持ちをぶつけるようにノートに書き続ける言葉。
逆に、担当の職員さんのふとんに潜り込み、「すっごくいい匂い、大好きな匂い。」と笑う顔、ふとした瞬間に愛情を求めて手を伸ばしいっぱいいっぱい抱きしめてもらう姿、「大好きだよ」って言ってもらえてはにかむ姿。

今回、児童養護施設というものの内側を知ることはもちろんですが、純粋に愛情を求めて、伝え合う場面の連続にずっと胸が苦しかった。人には必ず「隣る人」がいて、一緒にそばにいてくれる。大切な存在、それに血の繋がりは関係ない。一瞬一瞬をとらえたシーンの全てがとても貴重な映画だと思いました。この機会に観られて本当によかった。
結依

結依の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

子どもと職員の距離感はどのくらいが良いのか
を考えさせられたドキュメンタリーだった
愛着や信頼関係を築くのは大切だけど
実親のように濃い関係になったとして
その子が自立出来るまで隣に居続ける責任が持てるのか・・・
Mちゃんに「ずっと一緒にいようね」といった職員Mさんは
相当な思い入れと覚悟があるのだと思った
子どもたちはたくさんの別れを経験したり約束を破られてきたからこそ
安易に未来を約束することは関係を壊す危険なことだと思う
私はそんな永遠を子どもと約束出来るのかな・・・

Mちゃんの実母が施設に突然来たり
施設で一緒にご飯食べたりした場面は
本当にハラハラした
その時の子どもたちのストレスはどれほどのものだろうと思った
10年ほど前は、家族再統合に関してすごく緩かったんだなと思った

この施設はすごく温かくてゆっくりしてて
家族以上に家族らしい部分があると思った
キスとかハグとか良いなって思った

職員Mさんの担当の2人が泣いてる時に
「Mさんが死んだら十年も百年も千年も泣き続けるよ」
の言葉は本当にやばかった
職員Mさんは「分かった」って普通に答えてたけど
私が、もしそんなこと言われたら涙が止まらないと思う
絶対泣かせたくないって思う

とりあえず、私はもっと勉強しないと 笑
非常に勉強になる映画でした。

児童養護施設での生活が映し出されているドキュメンタリー作品。どんな子供にも十分な愛情が与えられている、ということがどれほど大切なことなのかが伝わってくる映画でした。

また、その愛情を与えるという行為をするのが、必ずしも血のつながった親でなくていいということや、血のつながった親が子共に愛情を与えられず非常に苦しんでいる様子も映しています。このようなことについて本で読んだ知識はあったのですが、映像で見ることでより生々しく感じられました。

子どもが養護施設の職員の異動のため、今まで愛情を注いでくれていた職員と離れ離れにならないといけない、というところは本当にかわいそうでした。ただ、そのようなところだけでなく、子供が職員に甘える姿や、撮影者にむかって変態、などと生意気なことを言う姿など、子供のかわいらしい姿、ほほえましい姿も多く映しています。

勉強になりましたし、本当に見て良かったと思える映画でした。
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